2018 Fiscal Year Annual Research Report
Studies of the Selfunderstanding of the United States Reflected on the Visions of the Pacific Ocean at the Mid-Nineteenth Century
Project/Area Number |
16K03106
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 泰生 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50194048)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 太平洋 / 合衆国海軍 / 合衆国海軍天文台 / マシュー・F・モーリ / マシュー・C・ペリー / 世界海洋気象会議 / 捕鯨 / 英国海軍 |
Outline of Annual Research Achievements |
プロジェクト最終年度となった本年、太平洋以外の海域における海の歴史を内外の研究者の視点に学びながら、今後の研究につながる史料調査を行った。まず、例えば、2018年7月8日に行われた鈴木英明(長崎大学)とKevin Le Doudic (南ブルターニュ大学)をパネラーに招聘した関西学院大学でのシンポジウムで、インド洋の歴史を学ぶことが出来た。 内外の研究者との知見の交換を進める一方、2018年9月9日から20日まで、ワシントンとニューヨークで史料調査を行った。国立公文書館(NARA)と議会図書館(LC)では、アメリカ海軍天文台長として英国仏露の各国天文台と海洋情報を交換し、1853年にはベルギーのブラッセルで海洋気象学の国際大会を主催した、マシュー・フォンテイン・モーリ(Matthew Fontaine Maury)に関連する史料の収集を進めた。海軍工廠の博物館を訪れる機会も持った。モーリは、南北戦争時の南軍将校としての経歴が災いし、戦後不遇をかこったが、合衆国における海洋学(Oceanology)の発展に記した軌跡はやはり大きい。ニューヨーク歴史協会でも合衆国海軍に関する史料調査を行った。 モーリの研究は科学史と交差する。その場合、「アメリカの科学」と総称し得るようなナショナルなサイエンスの歴史の一端として海洋学の歴史を描くことが妥当か、海の歴史に国籍は必要かといった問いが必ず浮上する。経済利益を追求するための航路の探索と純粋科学の見地からの海洋調査の要請に同時に海軍天文台は応えねばならなかった。ナショナル・ヒストリーの枠内と枠外に同時にひろがるその活動を、複眼的な視点から今後分析したいと考えている。今年度の調査を踏まえた報告を、12月15日に明治大学で、12月29日に関西学院大学でそれぞれ行う機会を与えられた。その成果を出来るだけ早期に公刊したい。
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Research Products
(4 results)