2021 Fiscal Year Annual Research Report
Challenge of Kultura: historical significance of the Polish media in exile
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16K03111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小山 哲 京都大学, 文学研究科, 教授 (80215425)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ポーランド / 文学研究所 / クルトゥラ / ギェドロイツ |
Outline of Annual Research Achievements |
関連する文献の収集・調査と、雑誌『クルトゥラ』の読解・分析を引き続き行なった。 「文学研究所」とその活動をめぐり新たな研究シリーズの創刊や史料の刊行がポーランドで続いており、それらの収集と内容の検討に着手した。とくに『クルトゥラ』編集長イェジ・ギェドロイツとポーランド内外の歴史家たちとの書簡集(全3巻、ウッチ/パリ、2019年刊)は、総ページ数3,000頁を超え、ポーランド国内側と亡命側の双方を含む162名の歴史家との文通を収録している。これまで文学者や政治評論家との関係を中心に論評されてきたギェドロイツの編集者としての活動に、もうひとつの重要な領域があったことを示す史料群である。「文学研究所」の刊行物に掲載された歴史関係の論説の浩瀚なアンソロジー(ウッチ/パリ、2015年刊)と併せて検討するべき史料であり、本研究の内容と方向性にも修正を加えることが必要となっている。 「文学研究所」と日本とのかかわりを証言するヤヌシュ・モンドリーとギェドロイツとの往復書簡については、日本のポーランド資料センター『ポーランド月報』(1981~91年)の内容と照合しながら分析を続けている。 『クルトゥラ』の記事の検討から、この雑誌が、ボフダン・オサチュクをはじめとするソ連時代のウクライナ系の民主派にとっても重要な発言の場となっていたことが判明した。「文学研究所」の関係者が、とりわけポーランドの民主化との関連でウクライナ問題をどのように位置づけていたかを精査することも残された課題である。
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Research Products
(1 results)