2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03114
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
山辺 規子 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (00174772)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 中世イタリア / 都市文化 / タクイヌム・サニターティス / ボローニャ / 支配者層 / 中世大学 / 都市景観 / 食文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ウィーンの国立図書館で、タクイヌム・サニターティスの写本5種ms.2644, ms.2396, ms.5264、Cod. 2322, ms.5512を確認。うち、これまで入手してできていなかった写本の利用について、図書館の担当者と相談しインターネットを利用することによって日本でも写本研究が可能であることを確認した。 ボローニャでは、国立文書館でR.Rinaldi氏とともにボローニャの大学文書の確認をしたほか、ボローニャ大学文学部歴史学科のM.Montanari教授と M.G.Muzzarelli教授とともに、日伊国交樹立150周年記念のシンポジウムについて、9月に打ち合わせ、10月にシンポジウム本大会を開催した。このシンポジウムでは、Monatanari教授と研究代表者山辺が食文化の観点から、M.G. Muzzarelli教授と大阪市立大学の大黒俊二教授が中世史研究における日本とイタリアの研究者による共同研究の成果について明らかにし、さらに現在考えられる課題について検討を重ねた。この検討は、次年度の活動の基礎をなすものである。 6月には陣内秀信法政大学教授、高山博東京大学教授、野口昌夫東京芸術大学教授、片山伸也日本女子大学准教授などともに中世イタリアの都市空間について、12月には城戸照子大分大学教授とタクイヌム・サニターティスと砂糖との関係について意見交換をおこなった。このような意見交換を踏まえて、2月から3月にはボローニャ大学、ボローニャ都市史関係の本や論考の利用のための整理をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、食の文化フォーラムのコーディネターの仕事が当初想定していた以上に多岐にわたり、また、日本食文化研究部会大会での講演会の準備のため新潟など遠方での調査をおこなう必要が生じた。また、本務校にあっては、大学院の改組が進むなか、後期課程の専攻長の役職に就いたために、本務校の管理運営上の仕事にかなりの時間をとられることとなった。その中で、これまでの研究成果を確認しながら、整理する作業はおこなってきた。 『健康全書』のシンポジウム報告者が、大学の運営上の要職についたり、所属大学を変わったり、他科学研究でのシンポジウム対応の必要が生じたりしたために、当初予定した作業を予定どおりにおこなうことはできなかったが、連絡は取り合っており、2017年度以降には進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度以降ボローニャ大学図書館、国立ボローニャ文書館、アルキジンナジオ(ボローニャ市立図書館)、ヴェネツィアのマルチャーナ図書館、パドヴァ大学図書館、フェラーラおよびモデナのエステンセ図書館、パルマの食関係博物館、フィレンツェの国立フィレンツェ図書館および国立ラウレンツィアーナ図書館、ペルージャ大学図書館、ローマのカサナテンセ図書館、ヴァティカン図書館、パヴィア大学図書館、ミラノのアンブロジアーナ図書館などをイタリアの図書館、文書館所蔵の史料を中心に利用する予定であるが、昨年度の調査の過程で、ロンドンの大英図書館およびWarburg研究所所蔵の史料で確認すべきものがあることが判明したので、直接現地で確認するか、少なくともデジタル史料で入手して比較対照することを考えている。本研究は これまでの科研研究を踏まえて、以下の3つの柱からなる。1,2はボローニャを中心とするが、3はイタリアの都食文化、健康論などとも結びつき、日本も含めて世界を視野に入れる。 1. イタリアにおける大学と都市との関係の考察。中世後期のイタリア都市にあって、世俗的な性格をもつイタリア型大学が都市文化に対して持つ意味を考える。とりわけ、これまでボローニャ大学の創立、法学者の活動、法カリキュラムと給与について集めたデータと、パドヴァ大学、ペルージャ大学のデータと比較対照する。 2. イタリアの都市景観の研究。イタリア都市の例として取り上げられるフィレンツェ、ヴェネツィアも考慮に入れつつ、まずボローニャの都市景観の変化をまとめたうえで、前回の科研研究で現地調査をおこないながら十分考察できなかった諸都市にも視野を広げて都市景観を総括する。 3.『健康全書』に関する研究。『健康全書』シンポジウムの報告者と連絡を取りながら、成果報告書を作成する。 個人的には、図版確認済みである各写本の対照表をつけたかたちで、研究をまとめる。
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Causes of Carryover |
当初大学院生をアルバイトを雇用する予定であったが、2月から3月にかけて、史料整理依頼予定の学生がアルバイトができない状態にあったため、2月に購入したPCのためのソフト購入に充当することを考えたが、未使用の金額よりも高額のソフトがより望ましいソフトであり、3月中には既に利用しているソフトで作業が可能だと判断したため、未使用の金額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
年度初めのさまざまな作業が完了したのち、速やかに前年度購入を検討したソフトを購入する。作業を依頼できる大学院生、あるいは同等の能力を持つ学生を選定し、作業の依頼をおこなうことを考えている。
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