2018 Fiscal Year Annual Research Report
Military Medicine and its information distribution to locals and colonies--malaria control in the early twentieth century United States
Project/Area Number |
16K03120
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
平体 由美 東洋英和女学院大学, 国際社会学部, 教授 (90275107)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 公衆衛生 / マラリア対策 / 軍陣衛生 / 種痘 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアメリカの公衆衛生行政について、軍隊と植民地の影響を取り入れ、公衆衛生の知と実践の発展形態を明らかにすることを目的としたものである。 今年度は1898年米西戦争時の軍隊における疾病予防対策に注目し、マラリア対策と天然痘対策をどのように行ったか、それが貴重な医療情報として利用されたかどうか、についてアメリカ本国と植民地の状況を調査した。マラリア対策については、アメリカ本国ではボウフラ駆除薬であるパリス・グリーンの使用、ボウフラを捕食する淡水魚ウープーの導入、建物への網戸設置などが実験的に行われていたが、それらが植民地での対策に生かされたかどうかは、ハワイにおけるウープー紹介以外は確認できなかった。天然痘対策については、米西戦争に従軍した兵士に対し施された種痘の種類と効果についての情報が共有され、アメリカ公衆衛生局やアメリカ医師会を通じて、医学雑誌の形で各州へと伝達されたことが確認できた。 マラリア対策情報の共有が進まない一方で、天然痘対策が積極的に共有されたのは、第一に疾病の感染速度や症状の違いが影響した可能性が高い。また、環境全体を改変しなければならないマラリアに比較して、個人への接種が効力を発揮する天然痘の、費用的・人的コストの差が関連していると考えられる。
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Remarks |
2019年3月発行の論文は、現段階ではDOIを含め公開はされていないが、6月末までには大学リポジトリにて公開される予定である。
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