2017 Fiscal Year Research-status Report
小アジアにおけるグローバル文化としてのギリシア文化とその地域性に関する研究
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16K03122
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| Research Institution | Chiba University of Commerce |
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Principal Investigator |
師尾 晶子 千葉商科大学, 商経学部, 教授 (10296329)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 古代地中海史 / 東地中海史 / 小アジア / ギリシア文化 / 文化交錯 / 文化変容 / 歴史叙述 / 土着性 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず5月に一橋大学で開催された第67回日本西洋史学会大会古代史部会小シンポジウム《古代地中海世界における知の伝達の諸形態》において、「碑文からみた知の伝達ー碑文文化の醸成と拡散、変容」というタイトルで報告をおこなった。古典期に独自の形として発展した「アテナイ型」の碑文文化が、ヘレニズム時代を通して東地中海に拡散していく状況と背景を語るとともに、ポリス文化を継承・輸入した地において、碑文がその土地の文化的記憶の継承のために積極的に利用されていく様態を示した。また、これらの表現方法がローマ帝政期に変容していくことを確認した。この報告をもとに、その後は、とくに碑文に刻まれた歴史叙述に焦点をあて、ヘレニズム・ローマ時代の小アジアにおいて、ギリシア的・アッティカ的な歴史叙述の手法をとりいれつつも、その固有の歴史・文化をどのように語ったかについての研究をすすめてきた。年度末の3月には、関西学院大学が招聘したMarc Domingo Gygax氏（プリンストン大学）を千葉商科大学に招聘し、ヘレニズム・ローマ時代の顕彰碑文についての講演をお願いするとともに、歴史叙述に関するワークショップを開催し、竹内一博氏と長谷川岳男氏に報告してもらった。
8月には、トロス遺跡にて、発掘調査報告書出版のための最終調査をおこなった。教会聖堂から出土した碑文について執筆担当し、すでに入稿済みである。英文報告書をトルコで出版する準備が進んでいる。
3月には、国際学会From the Markets to the Associations（関西学院大学）において、The Paroikoi at Rhamnous Revisitedを報告した。小アジアの碑文からも知られるparoikoiとよばれるグループのアッティカにおける活動実態を碑文から検討した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
個人の研究進捗状況としてはおおむね予定どおりに進行している。ただし、種々のより大規模な国際学会の開催が2017年度、2018年度とつづいているため、小アジアワークショップの開催の時期を遅らせる決断をした。当初は、同時開催も模索したが、時間的制約から名目的な開催になるおそれもあったからである。
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| Strategy for Future Research Activity |
すでに昨年の段階で国際ワークショップの開催を2年目ではなく、3年目に移すことについて決断していた。当初は、下記の9月開催予定の第4回日欧コロキアムの時期に独立しておこなう予定であったが、コロキアムの日程と報告本数から、小アジア関係のパネルを設けるにとどめることにした。それゆえ、これとは独立して歴史叙述に関するワークショップを組織する予定である。
個人研究としては、4月に国際学会（オクスフォード）に参加し、ここで研究者と自身の研究についての意見交換をおこなう。また9月のコロキアムにおいて、リキアにおける歴史叙述のあり方と変容について報告を予定しており、その準備をすすめていく。過去の記録を碑に刻む意味、記憶を共有し塗り替えていく意味について、小アジアを中心に考察をふかめてゆく予定である。さらに、かかる行為に聖域が果たした役割についての考察を加えていきたい。
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| Causes of Carryover |
海外からの招聘者について、他大学との共同招聘となったことで、国内旅費のみの負担となった。また、2年目に予定していた国際ワークショップの開催を、他の国際学会開催とのかねあいから3年目にずらしたことから、3年目に当初の予算額以上の旅費が必要となり、その旅費を3年目のためにのこさなければならなくなったため、次年度使用額が生じた。
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Research Products
(4 results)
