2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03135
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山崎 眞次 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70200657)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | メキシコ / シエラゴルダ / 農民反乱 / エレウテリオ・キロス / カウディージョ |
Outline of Annual Research Achievements |
メキシコ中央部のグアナフアト、ケレタロ、サンルイス・ポトシの3州に跨るシエラ・ゴルダ地方では植民地時代からしばしば農民反乱が発生していた。19世紀の独立以降も、反乱が続発し、反乱に参入する農民の数が増え、規模が拡大し、期間も長期化した。農民反乱が継続するには参入者の数が増えることが要因の一つであるが、反乱者が多いだけでは、政府軍に対して勝利を収めることはできない。烏合の衆である農民軍を訓練し、規律を打ち立て、統制の利いた農民軍を再編することが重要である。その役目を担う卓越したリーダーの登場が、農民反乱が持続し、社会的要求を政府に突き付け、地域全体を巻き込んだ社会的運動に変容させる不可欠な要因である。第3の要因として行政の調整機能が挙げられる。農民が経済的に疲弊し、社会的に疎外された場合、行政がそのような苦境を政治的に解決できないか、座視するとき、反乱が発生し拡大する可能性が高い。農民がアセンダド(大土地所有者)から土地を強奪され、訴訟を起こしても敗訴し、最後の頼みの綱である行政が農民たちの懇願に応えないばかりか、経済権力であるアセンダドと与したとき、救済の道を失った農民たちは最後の手段である暴力的反乱に走るのである。さらにシエラゴルダで反乱が発生した第4の原因として、地域のカウディージョ(領袖)というアクターが登場して、自己の利益拡大を目論み、反乱に介入したことを挙げることができる。 シエラゴルダでは19世紀に零細農民たちが断続的に反乱したが、本稿では主として1847~49年の反乱に焦点をあて反乱発生のメカニズムを解明する。この反乱では、搾取され、困窮した農民を救済するためにエレウテリオ・キロスというリーダーが立ち上がり、地域エリートと同盟して政府軍に対して武装蜂起し、当初単なる不平分子の暴動にすぎなかったものを社会的運動にまで昇華したからである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年夏季にメキシコ市とケレタロ市で調査を実施し、公文書館、大学図書館、定期刊行物資料館で十分な資料を収集した。収集した資料を基に「シエラゴルダの反乱(1847-1849)」を執筆し、初期の目的を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度はメキシコ市とオアハカ州で資料集を行い、申請書の計画通り、「テワンテペックの農民反乱」について論文を執筆し、2018年度春に論文集に掲載する。
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Causes of Carryover |
次年度において書籍購入のため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究用の書籍購入
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