2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03135
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
山崎 眞次 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (70200657)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 農民反乱 / 先住民 / 軍事的宗教的制圧 / エレウテリオ・キロス / カウディージョの参加 |
Outline of Annual Research Achievements |
19世紀に農民反乱が勃発したシエラゴルダの反乱について、メキシコ国立公文書館、国立図書館、国立定期刊行物資料館、エル・コレヒオ・デ・メヒコ図書館、ケレタロ公文書館、グアナフアト公文書館にて史料の収集し、整理・分析した。その成果を早稲田大学政治経済学部教養諸学研究第142号に「シエラゴルダの農民反乱(1847-1849)」に論文として刊行した。また、2018年1月に同論文についてラテンアメリカ学会東支部研究会において学会発表した。 先行研究は先住民農民反乱の発生原因を①先住民農民からの土地の強奪。②先住民農民人口の増加による土地不足。③「レルド法」公布による先住民の農民共同体の解体。④富裕な白人アセンダドと貧しい先住民農民の土地をめぐるエスニックな闘争。申請者は上記4点の反乱原因を肯定しながらも、私的アクターと共同体的アクターに政府という公的アクターを加えて、3アクター間の関係の変化が反乱を生み出すという独自の理論を展開する。 上記の仮説に従い、本論文・発表では以下のように論旨を展開した。 農民反乱が発生・継続する要因として4点を挙げる。①卓越したリーダーの存在。②反乱参入者の拡大。③行政の調停能力。④地域のカウディージョ(領袖)の参加。上記4点が農民反乱が発生・継続する主な要因であるが、シエラゴルダの反乱においては搾取され、困窮した農民を救済するためにエレウテリオ・キロスというリーダーが立ち上がり、地域のエリートと同盟して政府軍に対して武装蜂起し、当初単なる不平分子の暴動にすぎなかったものを社会的運動にまで昇華した点が特徴的である。 また、オアハカ州の「テワンテペックの農民反乱」に関しては「シエラゴルダの農民反乱」と同様の史料収集を行い、現在論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の「シエラゴルダの農民反乱」に関しては、論文を刊行し、学会発表も行いその成果を示した。 現在オアハカ州の「テワンテペックの先住民農民反乱」について、収集した資料を整理分析し、論文の執筆中であり、間もなく刊行予定である。 現在、最終年の史料収集のための準備を着々と進めており、本年度末には当初の計画通り、3地域の3反乱の相違点が解明される。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度はベラクルス州のトトナカ族の農民反乱について調査を行う。従来の調査同様に国立公文書館、国立図書館、国立定期刊行物資料館や各大学の図書館で一次資料と二次資料を収集し、整理分析する。その結果、申請者の仮説が実証可能となろう。 先行研究は先住民農民反乱の発生原因を①先住民農民からの土地の強奪。②先住民農民人口の増加による土地不足。③「レルド法」公布による先住民の農民共同体の解体。④富裕な白人アセンダドと貧しい先住民農民の土地をめぐるエスニックな闘争。申請者は上記4点の反乱原因を肯定しながらも、私的アクターと共同体的アクターに政府という公的アクターを加えて、3アクター間の関係の変化が反乱を生み出すという独自の理論を展開する。公的アクターが私的アクターであるアセンダドと共同体的アクターである先住民農民間の土地紛争を解決するための努力を怠った、あるいは私的アクターと結託したために、先住民農民が反乱という道を選択せざるを得なかったと考察する。
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Causes of Carryover |
2018年度に英書を購入するために残金を残した。
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