2018 Fiscal Year Annual Research Report
The National Historic Preservation of the U.S. National Park Service: Its Effects on Historic Land Preservation of Native Americans
Project/Area Number |
16K03141
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
川浦 佐知子 南山大学, 人文学部, 教授 (30329742)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歴史解釈 / 米国先住民 / 国立公園局 / 土地保全 / 資源開発 / 鉄道敷設計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は現代アメリカ合衆国における国史編纂の実際を、国土管理によって国家成立の歴史を編纂する連邦内務省国立公園局と、合衆国成立以前から大陸に先住してきた先住民部族との対立・折衝・協議の歴史を通して検討するものである。本研究は、1)国立公園局の史観の検討、2)先住民部族と国立公園局の折衝の歴史の検討、3)部族関連地所が関わる現在進行形の事案についての検討、という3つの焦点をもつ。 最終年度となる平成30年度は、上記のうち3)に力点を置き、米国モンタナ州ノーザン・シャイアン保留地を基点とした現地調査を行った。保留地東境界近郊において1980年代から計画が持ち上がっていたタンリバー鉄道敷設計画、及び鉄道敷設の目的とされた石炭開発事業について部族関係者、環境保全団体、地元牧畜業者などにインタビュー調査を行った。国立公園局及び部族評議会からの認定を受けて部族歴史地所の調査・管理にあたる、部族歴史保全委員へのインタビューからは、部族間連携の下、未調査のままとなっている多くの先住民関連遺跡についてデータ収集を行い、グレートベイスン地域一体の土地保全を視野に入れた活動を行っている状況を把握した。 40年に及ぶタンリバー鉄道敷設計画の経緯の検証を通して、鉄道敷設支援の一環として連邦土地の鉄道会社への移譲を約束する1862年パシフィック鉄道法が及ぼす、「土地保全・歴史保全」への影響を検討した。鉄道法の根底に流れる、西部を「歴史」を有さぬ資源供給地として見る見方は現在も踏襲されており、こうした見方に対して部族、地元牧畜業者、環境保全団体が連携の上、敷設阻止のために活動していた様が明らかとなった。 国家の歴史と先住民の歴史をどのように繋ぎ、語るのかという点については、2017年度に現地調査を行った、国立アメリカインディアン博物館企画展示「Nation to Nation」展を検討、論考をまとめた。
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