2016 Fiscal Year Research-status Report
国際的相互連関の視点による啓蒙期フランス秘密友愛団の社会文化史的研究
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16K03142
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
深沢 克己 京都産業大学, 文化学部, 教授 (60199156)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フリーメイソン / 秘教思想 / 社交団体 / 宗派化 / 宗教的寛容 / 職人組合 / 神秘主義 / 社会文化史 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 2016年6月24~30日にフランスに渡航、パリの国立図書館(BNF)で開催中のフリーメイソン特別展、およびフランス大東方会(GODF)で開催中の「テンプル騎士とフリーメイソン」特別展を訪問し、展覧会カタログと関連文献を購入し、最新の研究データを得た。 2. 2017年2月18日~3月2日に再度フランス渡航、パリのフランス大東方会図書館で古文書を閲覧、筆写およびデジタルデータ化によりデータを収集したのち、トゥールで秘密職人組合博物館を訪問し、主要な展示品を写真撮影してデータ化すると同時に、博物館カタログおよびフランスの手工芸・職人組織に関連する研究文献を購入し、秘密友愛団と職人組合伝統との社会文化史的相互連関を研究する多くの素材を収集した。 3. おもにフランス・イギリスで刊行されたフリーメイソン史および宗教史に関連する文献を体系的に収集する作業を開始し、最近の研究成果をフォローしつつ、今後執筆すべき研究書・論文の準備を着実に進めることができた。 4. 歴史学会刊『史潮』80号(2016.12)にフリーメイソン史の邦訳書について詳細な批判的書評を公表し、この分野でのわが国の研究状況について展望を提示した。またこのテーマと密接に関連する視点から、イギリスのRoutledge社から刊行予定の編著"Religious Interactions"の最終校正を終了し、2017年6月の刊行準備を完成することができた。さらに2017年3月28日には東京日仏会館で日仏歴史学会総会講演「近世フランス宗教史上の諸問題―信仰と宗派のあいだ」をおこない、宗教上の神秘主義とフリーメイソン団の生成過程との内在的関連を論じ、わが国の歴史研究者の啓発に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度交付申請書に記載した研究実施計画のうち、海外調査についてはイギリスへの渡航を断念し、フランスでの調査に専念した。また申請書に言及したマイクロフィッシュ史料の系統的調査については、時間的制約から期待したほどの進捗を得られなかった。しかしその他の調査・研究計画は、ほぼ予定通り遂行し、所期の成果を上げることができた。また書評執筆、英文編著の刊行準備完了、学会講演の実施など、研究成果の公表にも進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も史料調査・収集、史料・文献の読解、海外調査の実施を有機的に連関させつつ続行する。とくに2017年6月には、フランスのモンプリエ大学から、宗教史関連の博士論文審査を含む共同研究討論のために招聘されており、これを機会に研究を進展させるための情報交換と国際交流の幅を拡大する計画である。同時に成果のさらなる公表に向けて、著書・論文の執筆計画を実行に移す予定である。
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