2017 Fiscal Year Research-status Report
国際的相互連関の視点による啓蒙期フランス秘密友愛団の社会文化史的研究
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16K03142
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
深沢 克己 京都産業大学, 文化学部, 教授 (60199156)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フリーメイソン / 秘教思想 / 社交団体 / 宗派化 / 宗教的寛容 / 職人組合 / 神秘主義 / 社会文化史 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 2017年6月19~25日にフランス渡航、モンプリエ大学にてフランス近世宗教史の専門家とともに共同研究をおこなった。フランス国内各地とイギリスの大学から研究者が参加して、宗教史上の諸問題につき討論を実施し、研究成果の共有に努めた。 2. 同年6月「近世フランス宗教史上の諸問題―信仰と宗派のあいだ」と題する論考を『日仏歴史学会会報』32号に公表し、神秘主義とフリーメイソン思想との連続性を論じた。さらに同じ6月には単著『マルセイユの都市空間―幻想と実存のあいだで』を出版し、そこでも都市内の博愛団体としてフリーメイソン団に言及することができた。 3. 同年6月、英文編著Religious Interactions in Europe and the Mediterranean WorldをロンドンのRoutledge社から出版し、そこで宗教的分裂と秘教思想発展との内在的関連を提示する序論を公表し、成果の国際的発信に着手した。 4. 同年9月4~16日にフランス渡航、ストラスブール、コルマール、パリの各地で文書館史料探索と文献収集に努めた。とくにストラスブール大学図書館では、膨大なフリーメイソン関連文書をデジタルデータ化し、日本に持ち帰ることができた。 5. 同年10月に出版されたドイツ宗教改革500周年記念論文集に「カルヴァン以前のフランス宗教改革」と題する論文を執筆し、宗教史と秘教思想史との長期的連関を展望した。 6. 年間を通じて綿密な計画に基づく文献収集を継続し、また史料の印刷・製本をおこない、それらを系統的に読破・分析する作業をすすめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画にもとづき、海外渡航による国際研究活動と史料・文献収集を実現し、とくに史料収集の分野では、先方の文書館員の協力的姿勢のおかげで、予想以上の成果を上げることができた。また研究成果の公表の面でも、上記のとおり単著・編著・共著をそれぞれ1冊づつ公刊するなど、予定通りの発信を実現できた。収集した史料にもとづく専門的研究論文の執筆はまだ作業途上であるが、次年度には何らかの成果を公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も史料調査・収集、史料・文献の読解、海外調査の実施を有機的に連関させつつ続行する。とくに2018年8月または9月には、研究費の許す範囲でフランスおよび(可能なら)ドイツ方面に渡航し、広範囲な史料収集と研究者間交流に努める計画である。同時に次年度は、フリーメイソン史の重要な文献であるDavid Stevenson教授の著書、The origins of freemasonry: Scotland's centuryの翻訳をおこない、日本の学界にその意義を知らしめようと意図している。現在は出版社と交渉中であるが、必ずや実現したいと熱望している。
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Research Products
(4 results)