2018 Fiscal Year Research-status Report
国際的相互連関の視点による啓蒙期フランス秘密友愛団の社会文化史的研究
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16K03142
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
深沢 克己 京都産業大学, 文化学部, 教授 (60199156)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フリーメイソン / 秘教思想 / 社交結社 / 神秘主義 / 宗教的寛容 / 社会文化史 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 2018年7月21日に上智大学で開催された「帝国史研究会」において「宗教論的転回のゆくえ―寛容と共存の宗教史は不可能か」と題する研究報告をおこない、これまでの一連の科学研究費による研究成果を整理し、現在進行中の研究作業について中間報告をした。 2. 同年9月7~17日にフランス渡航、パリのフリーメイソン博物館を訪問、館長ピエール・モリエ氏と打ち合わせ、論文公表計画を話し合ったのち、中部フランス・オヴェルニュ地方に出発、同地方に造詣の深いニース大学教授ピエール=イヴ・ボルペール氏と緊密に連絡を取りつつ、同地方の諸都市で史料探索と現地調査に努め、有益な知見をえた。 3. 同年11月23日、同志社大学で開催された「欧米文化史学会研究会」において「近世フランス宗教史上の転換点―ギュイヨン夫人と「神秘主義の黄昏」をめぐって」と題する研究報告をおこない、近世ヨーロッパにおけるキリスト教神秘主義とフリーメイソン思想との親和関係を解明する視点を提示した。 4. 上記モリエ氏との合意により、フランスの代表的フリーメイソン研究雑誌Renaissance Traditionnelleの2019年秋季号に掲載する論文原稿を執筆し、提出した。 5. スコットランド・フリーメイソン史の名著、D. Stevenson, "A Scotland century"の日本語訳出版を計画、翻訳作業を約3分の1ほど進めて、複数の出版社と交渉した。 6. 年間を通じて文献収集を継続し、それらの系統的な読解・分析の作業を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度は、編集責任者の不手際と出版社側の事情により、複数の研究成果の公表に遅れが生じた。まずRenaissance Traditionnelle掲載予定論文は、当初は2019年春季号に掲載されるはずだったが、雑誌編集上の都合から秋季号に延期された。またD. Stevensonの著書邦訳は、積極的に刊行を引き受ける出版社が見つからず、現時点も交渉継続の状態が続いている。さらにパリ大学Pierre Serna教授の講演会記録は、すでに最終校正を終えたにもかかわらず、編集責任者の不手際により、1年以上も刊行が遅れており、そこに研究代表者が執筆した研究成果の一部が公表されないままになっているのは、まことに残念というべきである。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(2019年度)は、本研究計画の最終年度でもあるので、以上の出版遅延を何とか解消して研究成果の公表を充実させると同時に、新たにフリーメイソン史研究の単著を執筆し、年度末には刊行にこぎつける予定である。また今後の研究にも展望を開く目的から、スコットランドおよびアイルランドへの調査旅行を計画し、ブリテン諸島のフリーメイソン団にかかわる史料の収集に努め、それらとフランス秘密友愛団との相互関係を解明する史料を収集する予定である。
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