2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03163
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| Research Institution | Keio University |
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Principal Investigator |
安藤 広道 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (80311158)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | パブリック・アーケオロジー / 戦跡考古学 / 軍事遺跡 / 戦争遺跡 / 教育資源 / 学習資源 / 歴史実践 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
旧帝国海軍軍事遺跡の考古学的調査としては、慶應義塾日吉キャンパス内の連合艦隊司令部地下壕及び小規模地下壕、横浜市金沢区野島掩体壕、鹿児島県鹿屋市第五航空艦隊司令部地下壕を対象に、測量及び構築や使用に関わる痕跡の記録を行った。日吉台地下壕群の一部である艦政本部地下壕についても調査の許可を得て現地に赴いたが、坑口付近の地下水の水位が上昇しており入坑が困難になっていたため、調査を次年度以降に延期した。また、金沢区野島掩体壕も、平成28年度より数年間、建造物の解体部材が内部に保管されることになったため、トータルステーションによる測量等については断念せざるを得ず、簡易測量と写真記録に留めることにした。なお、これとは別に、大分県大分市、宇佐市、佐伯市内の軍事遺跡の踏査、及び保存・活用状況についての調査も実施した。
考古学的調査の成果を用いた歴史実践としては、日吉台地下壕保存の会、鹿屋市平和学習ガイド・調査員、慶應義塾大学考古学研究会に協力を依頼し、うち後二者では、それぞれが実施する戦争遺跡の見学会等での調査成果の利用の可能性を議論したうえで、成果の一部を見学のプログラムに盛り込むことができた。また、鹿屋市では、平和学習ガイド・調査員主催の一般公開イベント「鹿屋大空襲を聞く会」（平成29年３月18日）に発表者として参加させてもらい、調査成果の一部を発表した。
なお、こうした市民団体や学生団体との議論のなかで、一般公開されることが稀な地下壕の教育・学習資源化において、360°パノラマ撮影の映像が非常に有効であることがわかってきたため、調査を行った地下壕で撮影実験を試みた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時点で予期できなかった要因により、一部の遺跡において、調査の延期や調査内容の変更を余儀なくされたが、一方で、横浜市教育委員会や鹿屋市ふるさとPR課、市民団体、学生団体から、本研究に対する理解と大きな協力を得ることができたため、特に調査成果を用いた歴史実践の側面において、当初の計画を大きく超える成果が得られた。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に調査できなかった艦政本部地下壕については、今後、地下水の状況を見つつ調査の可能性を模索することにしたい。この地下壕については、一般公開による資源化はまず不可能であるため、360°パノラマ動画をベースに考古学的調査の成果を組み合わせた教育・学習資源化を試みたいと考えている。連合艦隊司令部地下壕、野島掩体壕、第五航空艦隊司令部地下壕についても、まだ調査は継続中であるため、平成29年度も引き続き、測量及び構築・使用の痕跡の記録を進めていく。また、沖縄県海軍司令部壕や熊本県人吉海軍航空隊基地跡等、日本各地の地下施設を含む戦争遺跡の保存・活用事例の調査も、複数回実施する予定である。
調査成果を用いた歴史実践では、自身の講義や講演、ツアーなどで調査成果を意識的に活用するほか、日吉台地下壕保存の会をはじめとする市民団体等にも提供し、見学プログラムへの活用の可否等の議論を進めることにしたい。
こうした活動を通じて、考古学が得意とする遺構の構築・使用に関わる物的証拠の調査成果が、軍事遺跡を訪れる人々に、軍事的活動が行われた「場所」としての現地性を超えた、リアリティあるいはオーセンティシティを想起させる可能性を見極めたいと考えている。
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| Causes of Carryover |
平成29年2月上旬に年度内の具体的な調査計画を確定させ、それに伴い、物品の購入予定を変更したため、未使用額が生じた。未使用額は平成29年度予算と合算して物品購入に充てることが、研究遂行上有利かつ無駄がないと判断した。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の物品費に合算し、損耗率の高い機材の購入に充てる予定である。
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