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2017 Fiscal Year Research-status Report

国家形成期における窯導入前後の土器生産及びその管理化に関する日韓比較研究

Research Project

Project/Area Number 16K03170
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

長友 朋子 (中村朋子)  立命館大学, 文学部, 教授 (50399127)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 鐘ヶ江 賢二  鹿児島国際大学, 実習支援課, 書記 (00389595)
Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywords考古学 / 国家形成期 / 窯技術 / 土器生産の変化 / 日本列島 / 韓半島
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題は窯導入前後の土器生産の変化を日韓で比較し、下部構造から国家形成期を読み解くことにある。そのため、前年度に引き続き日韓の土器調査を実施した。
1.韓国調査(1)新羅窯出土土器調査と資料採取:8月に三韓文化財研究院の協力を得て、大邱新塘洞遺跡の窯出土土器の調査を実施した。韓国の共同研究者らとともに、考古学的調査と自然科学分析のための資料採取をした。現在、研究協力者が分析と解析をおこなっている。
2.韓国調査(2)百済風納土城出土土器調査:2月に漢城百済博物館の協力を得て、百済風納土城出土土器の調査を実施した。調理具を中心に製作技法や使用方法の考古学的調査を代表者がおこなった。その際、底部に糸切り痕が観察でき、漢城期においてすでに糸切りを使用する早い速度の回転運動を利用した調整がなされていたことが明らかになった。また、黒斑の付着の様相から野焼きかどうかについても検討をおこなった。
2.和歌山県出土の初期須恵器の調査:和歌山県教育委員会、和歌山県文化財センターの協力を得て調査を実施した。和歌山県の初期須恵器は独特の文様を用いることで知られるが、韓半島の陶質土器か、日本列島産か、後者の場合には在地生産であるか中央の陶邑窯生産かを個々の土器について検討するため、日韓の共同研究者らと考古学的、自然科学的分析の両方から調査を実施した。また、韓半島のどの地域の影響を受けているかも検討の対象とした。詳細な検討成果は研究協力者により今後発表する予定であるが、概ね伽耶からの影響が強い点を追認した。また、瓦質土器と理解されていたものの中に、明らかに半島産ではない資料があることがわかった。その理解についても、共同研究者の胎土分析と合わせて成果を示したい。
3.ドイツマイン川流域のローマ窯と在地土器の調査:東アジアの窯技術の伝播と比較するために、ローマの窯と技術伝播についても予備的調査を実施した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2017年度の推進方策は、以下の4つであった。(1)伽耶、新羅、百済の窯の集成 (2)新羅・伽耶土器の調査の実施 (3)近畿地域の初期須恵器の調査の実施 (4)ヨーロッパの土器窯の拡散についての予備調査 (1)についてはすすめられなかったものの、(2)~(4)については、予定通り調査を遂行することができ、計画は概ね順調に進展している。
(2)の韓半島の土器調査は、伽耶窯が2018年度に発掘される見通しとなったことから、伽耶土器から新羅土器へと計画を変更した。実績概要で述べた通り、新羅窯出土土器調査と百済土器調査を実施し、自然科学的分析と解析も共同研究者によりすすめている。伽耶については、2018年度に発掘調査される伽耶窯があるため、分析調査ができるよう現在調整中である。
(3)和歌山県の初期須恵器を共同研究者らと調査した。日韓および考古学・自然科学の両側面から分析をおこなっている。
(4)ヨーロッパの土器窯については、以前ライン川流域のローマ遺跡を見学したため、今回はライン川の支流マイン川流域の軍事的基地として機能したローマ遺跡を中心に見学した。軍事基地においても土器窯が築造され、交易品を得るために土器生産をおこなっていた様相を把握することができた。
以上(2)~(4)の計画の遂行により、徐々に日本列島の窯導入期とそれに平行する韓半島の陶質土器の実態を把握しつつある。また、理化学的分析により、基礎的データも蓄積しつつある。ヨーロッパにおけるローマ窯と窯を持たない地域との関連性も、順次地域を変えて計画的に予備的調査を実施できている。全体の研究計画に照らし、概ね順調に研究は進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

本研究3年目となる2018年度は、以下のように研究を推進する。(1)韓国の伽耶窯出土土器の調査・分析(8月・2月)(2)共同研究者らとの検討会(2月)(3)窯の集成 (4)イギリスのローマ窯と関連遺物の予備的調査(8月)
(1)可能であれば、韓国の伽耶窯の発掘調査の現地を8月に見学し、土器調査の打ち合わせをおこなう。2月に土器の考古学的調査と理化学的調査を共同研究者らと実施する。
(2)これまで実施した調査成果を共有し、考古学的調査成果と理化学的調査成果を総合するため、2月に共同研究者らと検討会を実施する。韓国で伽耶土器の調査をする際に、検討会を設定したい。
(3)日本の初期窯と韓国の初期~5世紀の窯の集成をおこないたい。その際、これまでなされてきた集成成果に必要な項目を加える。また、可能であれば、当て具出土遺跡の集成もおこなう。
(4)これまで2回にわたって実施した、ドイツ北部および中南部の調査に加え、イギリスにおけるローマ土器および窯と在地土器との関連について予備的調査をおこなう。
2019年度は最終年度となるので、研究成果を公開できるようシンポジウムを実施したい。そのため、シンポジウムの内容を決定し、発表者を選び、発表テーマを伝えるなど、その準備を2018年度から始めたい。2月の検討会などでも、その準備を進める。

  • Research Products

    (6 results)

All 2018 Other

All Int'l Joint Research (1 results) Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Int'l Joint Research] 公州大学校/慶南発展研究院(韓国)

    • Country Name
      KOREA (REP. OF KOREA)
    • Counterpart Institution
      公州大学校/慶南発展研究院
  • [Journal Article] 韓半島における一つ掛け竈と二つ掛け竈2018

    • Author(s)
      韓志仙・長友朋子
    • Journal Title

      物質文化

      Volume: 98 Pages: 印刷中

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 日本列島にいおける土器窯の導入2018

    • Author(s)
      長友朋子
    • Journal Title

      待兼山考古学論集

      Volume: 3 Pages: 印刷中

  • [Journal Article] フレート・ドヴ遺跡の匈奴の瓦とせん2018

    • Author(s)
      中村大介・長友朋子・Eregzen Gelelgdorj
    • Journal Title

      東アジア瓦研究

      Volume: 6 Pages: 印刷中

  • [Presentation] 匈奴瓦の焼成温度推定2018

    • Author(s)
      下岡順直・長友朋子・中村大介・臼杵 勲・Eregzen Gelegdorj
    • Organizer
      日本考古学協会第84回研究発表会
  • [Presentation] Two kinds of pit kiln and their expansion: 3rd century BCE to 4th century CE in East Asia2018

    • Author(s)
      Nagatomo Tomoko, Nakamura Daisuke
    • Organizer
      The Eighth World wide Conference of the Society of East Asian Archaeology

URL: 

Published: 2018-12-17  

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