2016 Fiscal Year Research-status Report
古墳時代における都市化の実証的比較研究-大阪上町台地・博多湾岸・奈良盆地
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16K03176
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Research Institution | 公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、大阪市立東洋陶磁美術 |
Principal Investigator |
南 秀雄 公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、, 大阪文化財研究所, 所長 (70344380)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
趙 哲済 公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、, 大阪文化財研究所, 研究副主幹 (20344369)
大庭 重信 公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、, 大阪文化財研究所, 主任学芸員 (60344355)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 都市 / 古墳時代 / 大阪上町台地 / 必需物資 / 外部依存 / 機能分化 / 古環境 / 比較研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、弥生時代から都城の間の、日本列島における都市発展の道筋を埋めることを目的とする。方法としては、都市形成を支えた物資の需給と人口集中地域の機能分化にとくに留意し、大阪・福岡・奈良の地域間比較から成果を得る。 28年度は研究グループによる3回の研究会と大阪上町台地の巡検1回、研究者等に広く参加を求めた研究講演会1回を大阪で行った。研究会・巡検では、大阪上町台地の5~7世紀の都市形成過程の研究成果と、博多湾岸・奈良盆地の2地域の研究現状について、約10本の発表により認識を共有した。29年2月の研究講演会は、必需物資のうちの木材を重点的に取り上げ、『難波宮前の上町台地の都市化-とくに物資(木材等)の需給から』と題して大阪歴史博物館で開催し、招聘講師の講演と研究グループ4名の報告を行った(218名参加)。 28年7~8月には、連携研究者を主担当に大阪歴史博物館(共催大阪文化財研究所)にて特別企画展「都市大阪の起源をさぐる-難波宮前夜の王権と都市」を開催し、上町台地と大阪平野の当該期の都市化に関する発掘資料を集成した。また研究成果は展示パンフレットと研究代表者・連携研究者による講演会で市民に還元した(220名参加)。 都市化を支える生産力の考察には旧地形復元が欠かせず、淀川下流域の陸化に関する情報を得るため、ポイントになる地点の発掘資料の年代測定を実施し、地層の観察と合わせて成果を挙げた。また、世界的な都市研究の動向を知るため、主要英語論文の翻訳公表や、来日中の英国考古学者を講師とする研究集会(都市の指標とされるモニュメントの新石器時代との違い)を実施した。 総じて、地域比較の基となる各地の調査研究状況の把握や、大阪地域における古環境復元と手工業・遺構群の研究、必需物資中の木材・海産物の需給関係、漁撈や舟運などの分野で成果が挙がった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね28年度計画で企図していたことは実施でき、研究組織内の研究会の成果を反映したオープンな研究講演会により、当課題の活動も関西を中心として発信できたと思う。これにより協力をあおげる研究者も広がりを見せている。
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Strategy for Future Research Activity |
29年度は、年2回程度の研究会(大阪)と福岡での現地研究集会・巡検を行い、大阪上町台地の都市形成過程の研究成果を基に、とくに博多湾岸との地域間比較に力点を置いて研究を推進する。 大阪では日常の発掘調査のデータを活用し、とくに淀川下流などの低地帯の地形復元を進め、中心部を支える生産力の問題、耕地・牛馬牧に関する基礎資料とする。また、機能分化をより明らかにする建物群等の遺構・遺物の分析を進め、文献に登場する諸施設の特定に迫るため、出土土器などの基礎資料を再整理する。また28年度に成果を挙げた木材・海産物に加え、必需物資の対象品目を増やしていきたい。これらは大阪で先行し、他の2地域の博多湾岸・奈良盆地での同様の視点・方法での研究につなげていきたい。 通常の研究会はすべて公開して他の研究者の参加を促し、外部講師を積極的に招聘して他地域や海外の研究動向などの知見を役立てる。 30年度も同様の方法を拡充し、奈良盆地との地域間比較に力点を置いて、研究会(大阪)と奈良での現地研究集会・巡検を行う。最後に研究総括報告会を開催して3地域間の比較研究をすすめて総括する。
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Causes of Carryover |
都市史関係書籍や地図類の購入が予定に達せず、次年度に送ったためによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
都市史関係書籍や巡検のための地図類などの資料を購入する。
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Research Products
(15 results)