2018 Fiscal Year Annual Research Report
Changes in Economic Base of Regional Capitals in Japan and Alternative Directions of Their Sustainable Development
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16K03181
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Research Institution | Chugoku Gakuen University |
Principal Investigator |
日野 正輝 中国学園大学, 公私立大学の部局等, 教授(移行) (30156608)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地方中枢都市 / 自都市中心のネットワーク / 都市間結合 / 支店経済 / 持続的発展 |
Outline of Annual Research Achievements |
札幌、仙台、広島、福岡の4地方中枢都市における支店集積量の動向を分析し、1990年代後半以降減少を続け、2010年代に入ってようやく減少に歯止めがかかったことを明らかにした。しかも、それは従来の卸売業(メーカーの支店も含む)、建設業、運輸通信業、金融業・保険業などの支店従業者の回復によるものではなく、その他の事業サービス業などの支店従業者の増加によるものであった。当該支店は全国に隈なくサービスを提供するタイプの支店ではなく、需要の集積地を指向する結果、首都圏の主要都市では支店従業者が増加したが、地方中枢都市であっても広島などでは増加は小さかった。この現象は、地方中枢都市が今後持続的活性化を遂げるには、支店配置を通じた東京との階層的な都市間結合にだけ依存するのではなく、自都市を中心にした水平的な都市間結合を形成する必要性を指摘した。それを指して自都市中心のネットワーク形成と概念化した。 自都市中心のネットワーク形成の事例として、福岡と仙台の取組を紹介した。福岡では1980年代末から行政機関が中心になってアジア交流拠点形成に取組み、アジア諸都市との航空路線の開設、国際会議の開催などで成果を挙げ、4地方中枢都市のなかでグローバル化への対応および都市の広域中心性において一段抜き出た存在になった。仙台は、市民力の概念を提起し、市民の学習を通じた問題解決能力を高め、市民の連携と協働による持続的活性化を担保する方向を指向している。自都市中心のネットワーク形成にとって市民の参画が欠かせないことから、仙台の取組を評価した。 なお、自都市中心のネットワーク形成により経済発展を遂げた国としてシンガポールを紹介し、自都市中心のネットワーク形成を都市・地域振興に取り上げることを推奨した。
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