日本の大都市僻遠臨海地における水産業の地誌学的研究

2021 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 16K03182
• Research Institution: Akita University
• Principal Investigator: 篠原 秀一 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (50251038)
• Project Period (FY): 2016-04-01 – 2023-03-31
• Keywords: 日本 / 大都市僻遠地域 / 臨海地域 / 水産業 / 地誌 / 空間商品化

Outline of Annual Research Achievements

今年度は、延長されたこの課題研究の総まとめとして、昨年度同様に研究対象地域における補充的な現地野外調査を実施し、それらもふまえた複数の水産地誌と水産地域事例の比較対照を通じて、「日本の大都市僻遠臨海地における水産業の地誌学的研究」に一定の結論を得ようとした。
しかしながら、昨年度と同様に、新型コロナウィルス感染拡大防止の措置・要請により、補充的な現地野外調査を実施することは不可能であったし、大学内業務、特に対面授業及び遠隔式授業の準備が相変わらず膨大な時間と勢力を必要とし、わずかな研究時間も著者は十分に確保できなかった。そのため、昨年度同様に、最終研究年次をもう１年延長し、それが認められ、それを前提に手当てされた研究費を今年度は一切使用せず、来年度に持ち越した。
今年度は昨年度同様に、細切れの研究時間内で、これまでに得られた研究資料と先行研究を参考に、この課題研究をまとめるのに重要なキーワードである「大都市（圏）僻遠地域」「日本の臨海水産地域性」「漁港漁業とその他の地域空間商品化」を再考し、最後のまとめ方も考えてきた。現時点では、日本全体の話と具体的な地域事例（宮古島や稚内など）をふまえ、他の地球上の臨海水産地域にも適用できそうな最終的「結論」を、できれば「地域構造要因図」の形で、来年度中に仮説的に提示する予定である。また、日本全体の臨海水産地域を再確認するため、最新版の２万５千分の１地形図（紙版）を日本列島全臨海地域について揃えてそれぞれの局地的地理条件を再考する準備を始めた。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

今年度は昨年度と同じく、新型コロナウィルス感染拡大防止の措置・要請により、秋田県外へ出ることができず、補充的な野外調査も実施できず、また、膨大な授業準備の必要により十分な研究時間も確保できなかった。

Strategy for Future Research Activity

今年度も新型コロナウィルス感染拡大防止の措置・要請により、研究活動は制限されることが考えられる。しかし、現地野外調査が可能となれば、できるだけその成果も反映させ、一切の現地野外調査・県外文献調査が無理であれば、これまでの野外調査結果と従来の先行研究も参考とし、さらに、地形図や空中写真などの現地地図資料も援用して、「大都市（圏）僻遠地域」「日本の臨海水産地域性」「漁港漁業とその他の地域空間商品化」をキーワードに、地域事例としては宮古島市・稚内市を中心に根室市・浜中町・厚岸町、垂水市・南大隅町・宇和島市・愛南町のものをとりあげ、それぞれの水産地誌を作成するとともに、他の臨海水産地域にも適用できそうな「地域構造要因」を明示すべく、考察を進める。

Causes of Carryover

昨年度同様に、今年度も新型コロナウィルス感染拡大防止措置のため、県外へ野外調査に出かけることもできず、また、対面・遠隔授業の準備で莫大な時間と精力を費やし、十分な研究時間を確保できず、当該課題研究費を一切使用せず、次年度に使用を持ち越した。コロナウィルス感染防止対策が不要になるなど、「コロナ」緩和が進めば、次年度使用額は報告書印刷費のほか、できるだけ県外調査費用に充てることを考えている。