2023 Fiscal Year Annual Research Report
A regional geographical study of fishing industries in seaside areas far away from metropolitan regions in Japan
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16K03182
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
篠原 秀一 秋田大学, 教育文化学部, 教授 (50251038)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大都市僻遠地域 / 水産業 / 臨海地域 / 水産業/漁業 / 地域イメージ / 地域空間商品化 / 地誌 / 生活資源 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、研究期限が再々延長された研究課題の最終年次の総まとめとして、主要な研究対象地域である稚内市(この分はこの研究費で旅費をまかなえた)と宮古島市(ほぼ私費で旅費をまかなった)において補充的な現地野外調査を実施した。その際に得られた地域(地理学的)情報も考慮して、宮古島市に関する「空間商品化からみた臨海地誌」を新たに作成し、この研究課題における過去の実績とあわせて、最終報告書「日本の大都市僻遠臨海地における水産業の地誌学的研究」を簡易ながら作成した。 本課題研究の成果は、以下のようにまとめられる。1)日本列島臨海地における漁業者集積には、都市型・都市圏近接型・都市僻遠型がある。2)日本有数の漁業地である北海道でも、1980年代の大量漁獲期からすれば、漁獲・水揚げが激減し、中小漁港を中心に従来以上の「地域水産ブランド」がみられるようになった。3)最も詳細な地域調査を行った稚内市と宮古島市では、(1)どちらも、地元生活資源と外来者用の観光資源がある程度は競合する。民間信仰領域の禁域は、宮古島市の方が明瞭。(2)地域観光化は、外来者・外在者のイメージと資金力が大きな原動力となる。(3)水産業の地域イメージは、稚内市の方が過去の大規模さゆえ、地域空間商品化により大きく残存的に影響している。(4)どちらも、市内における地域空間商品化には当然、地域差がある。(5)どちらも、自動車交通を前提とする地域空間商品が数多いが、実は徒歩による魅力的資源再興にまだ大きな可能性がある。(5)どちらも、大都市圏中心部とは違って、昼間の農山漁村的な空間商品化が見られ、冬季を中心に季節的な外来者閑散期がある。(6)どちらも、冬季の厳しい寒さ、あるいは台風期の被害準備等、自然環境への対応がその地域の生活文化の基底にあり、外来者・観光客を惹きつける隠し味にもなっている。
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