2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03185
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梶田 真 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40336251)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 人文地理学 / 地域経済 / 地域社会 / 原子力発電所 / 地域性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は主に(1)原発立地地域に関する各種資料の収集・分析,(2)原発立地地域(初期に立地した地域)の現地調査の2点にまとめられる. (1)については2015年国勢調査の小地域集計結果の公表等に応じて基本単位区別のベースマップや統計資料の整理を進めた.これらの一部を利用して,2015年国勢調査実施時点までに避難指示が解除された福島県楢葉町の帰町者および除染・廃炉作業員の居住分布の実態を明らかにすることができた.あわせて,原発立地自治体における地方財政および選挙結果の時系列データの整備を進めた.関連資料として,前者については自治体広報誌,後者については地方紙の関連記事の収集も進めている. (2)については,本課題採択前から継続的に調査を進めていた福島県楢葉町において,(1)の成果を踏まえた全町的な現地観察を行った.これらの分析結果をもとに役場等においてインテンシブな聞き取り調査等を実施し,議論を行った.一連の調査を通じて得られた知見は,論文としてとりまとめ,学術雑誌で発表した(梶田 2016).当初は,被災地のため調査に大きな制約のある福島県だけでなく,もう一つの原発集中立地地域である福井県若狭地域でも現地調査を行うことを予定していたが,校務多忙のため実現できなかった.この点については次年度以降の課題としたい.
梶田 真 2016. 避難指示解除と復興の現実-福島県楢葉町- E-journal GEO 11: 489-501.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
論文を発表することはできたものの,校務の拘束が多く,調査に出ることがままならなかった.次年度は校務が軽減される予定であり,資料の収集等はおおむね順調に進んでいるため,遅れをとりもどすべく精力的に現地調査を進めていきたいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は本年度に収集した原発立地自治体の財政・選挙・小地域統計・広報誌等の整理・分析を行うと共に,現地調査を通じたその検証を進め,地理学的な視点に立った原発立地地域論の構築に向けてアイデアをまとめていきたい.
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Causes of Carryover |
校務のために予定していた現地調査が実施できなかった.次年度は校務が軽減されるため,本年度の遅れを補う形で研究を進めることができると考えている.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として福井県若狭地域への現地調査,および,福島県富岡町・楢葉町への現地調査と関連資料の収集に使用することを予定している.
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