2022 Fiscal Year Annual Research Report
The historical changes of marine resource use in fishing ground maps and topography
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16K03186
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
橋村 修 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00414037)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 漁場 / 地誌 / 回遊魚 / シイラ / 名所図会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、国内外における近世期以降の漁場図と地誌書を分析対象とし、図に描かれた漁場の景観や空間利用形態についての解明を進めた。本年度は沖縄県宮古島市伊良部島における回遊魚利用(カツオ、シイラ)に関する南方(パラオ、ソロモン)出漁も含めた漁業史の現地調査(漁師の描いた漁場図調査)を実施した。 研究期間全体を通じて実施した研究は現地調査研究と古文書や地誌書、名所図会を用いた歴史研究に大きく区分できる。 国内での調査研究は、宮城県、千葉県、長崎県、鹿児島県、沖縄県において、漁場の古習俗(漁場での魚盗みのカンダラ、ドーシンボウ。定置網漁場とエビスかつぎ)、回遊魚利用(シイラ、カツオ、マンボウ、サメ)の歴史について解明を進めた。海外ではマレーシア(コタキナバル)、フィジー、南インドの漁業関係の地誌書と漁場図について調査した。 歴史研究は、古文書解読に関して、薩摩藩関係の近世漁業史料の解明を進め、大隅地方の内之浦、高山郷の漁場相論史料と漁業、薩摩半島南部の南さつま市久志地区の近世末期マグロ網漁業・漁場史料を用いた研究を進めた。近世の地誌書や名所図会を用いた海辺・漁業の研究では、漁業者(生産者)ではない一般の人々(消費者)が海辺の風景をどのように認識していたのか、「遊び」の視点も導入し、遊漁、レクリエーション、潮干狩り、漁業見物を取り上げ、エンターテインメントとしての「漁業」の存在を浮かび上がらせた。 コロナウィルスの影響に伴い、本研究は2020年、2021年、2022年に継続して実施した。その間には本研究テーマに関して、近世期の沿岸部の疫病対応と無人島利用、柳田国男『海上の道』の回遊魚利用の視点からの再考。東北で獲れたシイラやサメの他地域への流通、シイラの地方名を事例に渋沢敬三『日本魚名集覧』が典拠とした文献を点検し、江戸時代から現代にいたるまでの魚名地域分布表作成の研究を進めた。
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Research Products
(3 results)