2017 Fiscal Year Research-status Report
山地社会における土地の周縁化を考慮した垂直的土地利用モデルの再考
Project/Area Number |
16K03187
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
月原 敏博 福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(総合グローバル), 教授 (10254377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹田 晋也 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (90212026)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 土地利用 / 耕作放棄地 / 地籍図 / 土地台帳 / ラダーク / 山地農業 / 垂直性 / インド |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,ラダークで地籍図の管理担当者を訪問し,地籍図と土地台帳で用いられる特殊な専門用語や文字の解読方法を確認し,これに基づいて地籍図の解読を進め, 110年前のD村を構成した67世帯の土地所有や作付け,水路分布や納税情報などをデータ化した。申請者らがこれまで行ってきた土地所有調査と作付け調査の資料をGIS上に統合し,世帯の労働力や農業経営規模,土地の傾斜や家屋からの近接性などの観点から耕作放棄地の発生要因を分析した。その結果,耕作放棄地の発生には,世帯の労働力や地形などが複雑に絡み合っていることが判明した。この知見は国際学術雑誌に投稿予定である。 また,本科研と京都大学のWild & Wise Collaborative Learning Programsの共催企画として次の国際研究集会を開催した。Understanding Agricultural/Pastoral Transitions in the Himalayas (21 Feb 2018, 15:00-17:30) SINGH, Rashmi (Ambedkar University)"Moving mountains: Changes and Continuity in the Agro-Pastoralism of Western Himalayas, India". YAMAGUCHI Takayoshi (National Agriculture and Food Research Organization)"Community-Scale Analysis of the Farmland Abandonment Occurrence Process in the Mountain Region of Ladakh, India" Comment: Tsukihata Toshihiro
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の根幹をなす部分は,英領期に作成されたウルドゥー語の地籍図及び土地台帳の解読とそのGISデータ化,さらにその歴史GISデータを近年の土地利用状況の実態調査に基づいて作成した耕作放棄地等の土地利用の現況把握と突き合わせることで,耕作放棄等の土地利用変化をもたらした要因の分析をおこなうことである。 ウルドゥー語の地籍図と土地台帳にはこの記録業務に携わるパトワリと呼ばれる専門官でなければ読み書きができない特殊文字と専門用語が用いられているが,本年度は,現地の退官後の専門官を研究協力者に得られたことで,外国人研究者には解読が全く困難なこの英領期の地籍図の解読を大幅に進めることができた。これにより,110年前に調査対象村を構成した各世帯の当時の農業経営のデータを復元し,近年の状況との比較を行うためのデータベースを構築することができた。また,近年の土地利用状況に関しても,空間モデルによる分析を進め,耕作放棄地の発生要因とその社会的な構造との関わりを考察するうえで必要な分析資料を順調に蓄積することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,調査対象村であるD村に関する英国統治期の地籍図と近年の土地利用状況をGIS上で比較することによって,これまでの土地利用の変化と耕作放棄地の発生状況を定量的に把握するととも,近年のD村の社会構成の変化動向や商品作物の普及プロセスを含む開発政策の変遷等の要素も加味して土地利用の歴史的変化を考察する。これによって,とくに研究の焦点としては山地社会で耕作放棄地が発生するメカニズムの解明に努める。その成果は,日本地理学会等で報告するとともに,国際学術誌にも投稿することによって研究成果の国際的な周知にも注力する。
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Causes of Carryover |
【理由】現状の土地利用の補足調査を目的とした代表者による現地1~2か月の滞在を含む海外渡航予定を立てたが,研究協力者による現地調査で地籍記録専門官からの協力が得られて地籍図・土地台帳の解読作業が大幅に前進することになったので当年度は現地調査よりもその読解作業に注力した。 【使用計画】次年度は,研究分担者を加えて複数名による現地補足調査を実施し,耕作放棄に顕著な土地利用度の低下に関わる細かな条件に関する資料収集を行うほか,110年前の地籍図と土地台帳の読解困難箇所についての追加聞き取り調査も行う。
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[Journal Article] Sleep quality among elderly high-altitude dwellers in Ladakh2017
Author(s)
Ryota Sakamotoa, Kiyohito Okumiyaa, Tsering Norboo, Norboo Tsering, Takayoshi Yamaguchi, Mitsuhiro Nose, Shinya Takeda, Toshihiro Tsukihara, Motonao Ishikawa, Shun Nakajima, Taizo Wada, Michiko Fujisawa, Hissei Imai, Yasuko Ishimoto, Yumi Kimura, Eriko Fukutomi, Wenling Chen, Kuniaki Otsuka, Kozo Matsubayashi
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Journal Title
Psychiatry Research
Volume: 249
Pages: 51-57
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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