2017 Fiscal Year Research-status Report
大都市における疾病発生にともなう健康環境問題への人文地理学的貢献
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16K03195
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
香川 雄一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (00401307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 陽平 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (10461021)
本岡 拓哉 立正大学, 地球環境科学部, 特任講師 (60514867)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 大都市 / 健康環境 / エスニシティ / 地域統計 / 人文地理学的貢献 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境問題への関心が広まるとともに人文地理学における健康環境問題へのフレームワークにどのような発展があったのかという、環境思想の受容に関する課題に対しては、アメリカ合衆国の大都市であるシカゴとロサンゼルスで現地調査を実施し、文献資料も収集した。居住や呼吸という観点から社会の環境問題について明らかにするために、大都市内部で現地調査を実施しつつ、当事者へのヒアリング調査によって問題構造の解明を進めている。エスニシティの環境問題として、大都市内部の民族別居住地域における健康環境問題は、同じくシカゴとロサンゼルスにおいて実態を把握し、その改善のためにどのような人文地理学的アプローチが採用可能かを検討した。食・疾病環境については、大都市の地域統計分析から健康環境の実証研究においてふさわしい地域を選定し、大都市内部の地域的特徴から取り出せる要因から空間的な分析結果を裏付けられるようにしつつある。 こうして健康環境問題への人文地理学的貢献のために、研究蓄積が多いイギリス、アメリカ合衆国、日本の大都市において現地調査を実施することにより、人文地理学的なフレームワークの実効性について確認し始めている。今後はさらに健康環境問題に対する人文地理学的研究方法の有効性を証明し、大都市における健康環境問題の発生現場および関連分野の健康環境研究における人文地理学的貢献を主張するために、学術会議等において研究成果を発表していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現地調査と文献資料の収集によって、人文地理学における健康環境問題へのフレームワークの発展をある程度は確認できた。居住や呼吸という観点から社会の環境問題についても、大都市内部で現地調査を実施することで、問題の構造を解明しつつある。大都市内部の民族別居住地域における健康環境問題の実態を現地調査によって把握できた。大都市の地域統計分析から、健康環境問題の諸要因から空間的な分析結果を裏付けてきた。健康環境問題の人文地理学的貢献についても、イギリス、アメリカ合衆国、日本の大都市における現地調査により、人文地理学的なフレームワークの実効性について確認するための準備が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
健康環境への人文地理学的研究は、健康被害の因果関係やさまざまな人口属性との関係、さらには建造環境や被害予想に至るまで研究は蓄積されつつあることが分かった。しかし健康被害の発生した地域や都市における人文地理学的研究と結び付けられることは少なく、どちらかといえば環境学や疫学、公衆衛生学などとの関係を深めていることも事実である。その反省を踏まえ、人文地理学的研究方法を他分野に理解させるとともに、人文地理学の内部においても研究蓄積との関連から健康環境の研究への有効性を検証し、人文地理学における健康/環境地理学を体系化することを目指す。
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Causes of Carryover |
時間的余裕がなく、想定していた国内でのフィールドワーク調査を複数回、遂行できなかったため残額が生じた。
当初の研究計画を遂行するとともに、今年度は前年度までに実施できなかった現地調査を実行し、さらには2年目までの研究調査で得た結果をまとめるための作業を実施する予定である。
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Research Products
(9 results)