2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Human Geographical Contribution for the Health and Environmental Problem with the Occurrence of Disease in Large Cities
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16K03195
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
香川 雄一 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (00401307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 陽平 近畿大学, 文芸学部, 准教授 (10461021)
本岡 拓哉 立正大学, 地球環境科学部, 特任講師 (60514867)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 健康環境 / 環境問題 / 環境政策 / 人文地理学 / 環境史 |
Outline of Annual Research Achievements |
人文地理学において、今までは十分に体系化されてこなかった健康環境問題の研究に対して、様々な観点からアプローチをした。まず、環境思想が人文地理学に受容されていく過程を地理学の方法論的発展と位置づけることを試みた。さらに健康環境研究の個別テーマを検証し、人文地理学的な研究フレームワークを独創的に確立できるように努力した。 個別テーマとして、環境思想では、環境問題への関心が広まるとともに人文地理学における健康環境問題へのフレームワークにどのような発展があったのかを現地調査と文献レビューによって検討した。居住・呼吸環境では、居住や呼吸という観点から社会の環境問題について大都市内部で現地調査を実施し、主に当事者へのヒアリング調査によって問題の構造を解明した。エスニシティ環境では、大都市内部の民族別居住地域における健康環境問題の実態を把握し、その改善のためにどのような人文地理学的アプローチが採用可能かを検討した。食・疾病環境では、大都市の地域統計分析から健康環境の実証研究においてふさわしい地域を選定し、大都市内部の地域的特徴から取り出せる要因から空間的な分析結果を裏付けた。 調査結果として、都市化あるいは工業化による環境問題の発生が、自然環境だけでなく都市住民をはじめとした人々の健康環境をむしばんできたことを確認した。本研究では大都市における健康環境問題において人文地理学的研究が蓄積されてきたことを検証した。質的調査と量的調査の両面から健康環境に関する地域研究を行うことで人文地理学の中で健康/環境地理学を体系化するための展望を示すことになった。 以上より、人文地理学が「現場の健康環境問題の解決」および「学際的な関連分野における発展」に貢献できることを検証した。また欧米の地理学者による環境史研究とも比較されうる研究成果が期待できることも、可能性として示すことができた。
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Research Products
(3 results)