2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03197
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
鈴木 洋太郎 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (30226568)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 国際産業立地 / アジア新興国 / 大都市圏 / 日系アジア現地法人 / 中小企業の海外立地行動 / ベトナム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アジア新興国の大都市圏について、その立地環境上の特性を明らかにするとともに、日本の大都市圏(特に大阪大都市圏)との産業集積ネットワークの状況や今後のあり方を考察する。そのため、日本企業・関西企業のアジア進出や現地での産業集積形成の側面から調査研究を進めていく。 2016年度は、分析フレームワークの検討やアジア新興国の大都市圏に関するデータ資料の整理・検討を行うとともに、日系アジア現地法人(ベトナム進出企業8社)への訪問調査を通じて、ベトナムの大都市圏(ハノイ大都市圏およびホーチミン大都市圏)における集積状況と立地環境上の特性を調査・分析した。 ハノイ市郊外のハナム省やホーチミン市郊外のドンナイ省の工業団地は、近年、高速道路などの交通インフラ整備により、それぞれハノイ市、ホーチミン市からの通勤圏に入ってきており、こうした大都市圏郊外の工業団地は地元でのワーカーの確保などの点でも有利であるため、産業集積形成が大都市圏郊外へと地理的に広がる傾向にあることがわかった。 また、ハナム省は、日系中小企業誘致を非常に熱心に行っており、長年ベトナムで活動している日系コンサルタント会社と連携して、進出企業へのサポート体制を整備している。また、ドンナイ省の日系工業団地では、ベトナムに早くから進出していた大阪の中小企業が中心になって、関西中小企業のベトナム進出を支援する官民協力体制を構築している。こうした受け入れ側の企業誘致政策などを反映して、ベトナムの大都市圏の産業集積形成においては、大企業だけでなく中小企業の海外立地行動との関係も増加する傾向が認識された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日系アジア現地法人への訪問調査は、4年間の研究期間中に、中国、ベトナム、タイ、インドネシアの各大都市圏で実施する計画であるが、2016年度はベトナム(ハノイ大都市圏およびホーチミン大都市圏)の調査を実施することができた。アジア新興国の大都市圏における産業立地研究の分析フレームがまだ十分に確定できていないが、今回のベトナム現地調査を通じて分析ポイントが明確になりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
アジア新興国の大都市圏の国際産業立地研究に関する分析フレームワークの検討やデータ資料の整理・検討を引き続き行うとともに、ベトナム以外のアジア新興国においても日系アジア現地法人への訪問調査を実施することで、日本企業・関西企業の立地先としてのアジア新興国の大都市圏の立地環境についての特性を掘り下げて明らかにする。特に、日系アジア現地法人の国際的なサプライチェーンの観点から、産業集積ネットワークの状況や今後のあり方を明らかにする。
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Causes of Carryover |
海外現地調査(日系企業のアジア現地法人への訪問調査)について、ゼミの大学院生が同行する予定であったが、単独で実施したため、旅費の支出が計画よりも少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外現地調査については、ゼミの大学院生を同行させる形で実施しながら、さらに充実したものにする。また、予算的に余裕ができた分は、データ資料の整理のための人件費としても使用する。
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