2016 Fiscal Year Research-status Report
過疎地域活性化表彰地域の実態分析による今後の過疎政策への提案
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16K03205
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
宮口 とし廸 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80097261)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 過疎地域 / 優良事例表彰 / 担い手 / 進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去に優良事例表彰を受けた過疎地域のうち、本年度はその後の展開について6地域の現地調査を実施した。島根県益田市萩原集落の萩の会は、受賞後5年が経過し、高齢化は進んでいるものの、地区の固い結束のもとでブルーベリー事業などが順調に展開していた。同じ益田市の真砂地区は公民館を中心にした食育の協働の中で、新たなコンセプトの地域運営組織をつくる展開が注目された。北海道標津町は、漁港等でのハサップ方式の衛生管理の徹底を守る一方で、民間の水産資源活用の動きから成長が感じられた。 長崎県南島原市の(一社)ひまわり観光協会は、順調に育った農漁家の民泊事業に、昨年の熊本地震で多数のキャンセルが生じたが、行政と観光協会、民泊実施者との連携で危機を乗り切り、29年度には復活が予想されたことは喜ばしい。福島県二本松市のNPOゆうきの里東和ふるさとづくり協議会は、平成21年度の表彰であるが、管理する道の駅では、大震災の際に避難所あるいは食事の提供で大きく貢献した。放射能の被害を受けながらも桑園を改植するなど努力を重ね、合併後の支所機能の担い手としての道も探る動きがある。福島県三島町の(一社)IORI倶楽部は、桐と杉という地域の資源を活用する動きを、地元企業の協働で続けており、大震災の折には「杉板倉木造仮設住宅」を提案、多数供給して高い評価を受けた。リニューアルした古民家のIターンクリエーター同士が結婚するなど、新しい話題も生まれた。 特に真砂地区・南島原市・三島町では、取り組みに若い世代の参加が見られており、表彰時からさらに進化しつつある状況が確認できた。次年度も次の世代の参入に注目しながら現地調査を続けたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年夏に体調の悪い時期があり、現地調査を控えざるを得なかったため、経費を一部来年度に繰り越した。また調査対象団体の都合により、申請時の調査予定地を一部変更せざるを得なかったが、全体としてはそんなに遅れているわけではなく、次年度の現地調査は問題なく実行できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は繰り越し分も含めて、初年度よりも多くの現地調査を予定しているが、時間は十分取れる状況にあり、成果は十分に期待できる。中間の年度でもあり、具体的な現地調査に十分力を注ぎたい。
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Causes of Carryover |
昨年の夏に体調不良の時期があり、現地調査を控えざるを得なかったことと、移動に関して現地機関の便宜供与があり、レンタカーの利用回数が減ったこと、併せて、現地での調査補助の大学院生の謝金辞退等があり、繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は研究時間が十分に得られるので、現地調査の回数を増やすことで対応したい。
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