2018 Fiscal Year Research-status Report
ドイモイ期のベトナム農村における人口移動と社会変化に関する地理学的研究
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16K03207
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
筒井 由起乃 追手門学院大学, 国際教養学部, 教授 (10368186)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筒井 一伸 鳥取大学, 地域学部, 教授 (50379616)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人口移動 / 農村社会 / 社会変化 / ベトナム / 国際研究交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、市場経済化を進めるベトナム農村において、個々の経済活動がどのように展開し、社会や地域の特徴がどのように変化しているのかについて、人口移動という観点からアプローチするものであり、フィールドワークによるミクロなデータを基にしながら、ベトナム北部・中部・南部といった広がりをもった空間の中で現状をとらえようとしている。 今年度は、北部地域におけるフィールドワークに向けて、海外共同研究者(ハノイ国家大学ハノイ理科大学地理学部・Nguyen Thi Ha Thanh氏)と研究打ち合わせを重ねたほか、首都ハノイ近郊において人口動態の激しい地域を抽出し、予備調査を行い、調査候補地をしぼった。 工業化が進むバックニン省では15もの工業団地が造成され、周辺農村もそれにともなって「都市化」されている。土地収用によって農地を失った農民たちは、流入する労働者向けの賃貸住宅や飲食業など、新たな生業に活路を見出そうとしている。 一方で、そうした労働者を送り出す側の農村地域では、国内移動にとどまらず、海外への出稼ぎも増加している。彼らによる送金が村を豊かにしており、住宅のみならず、寺などの共有財産の整備が進むところもある。このように、人口流出地と人口流入地で変化の展開が大きく異なる点は、今後の研究でより注目していきたい。 また、中部の海外共同研究者(フエ大学フエ科学大学地理地質学部のBui Thi Thu氏およびDo Thi Viet Huong氏)、南部の海外共同研究者(ホーチミン市人文社会大学地理学部のHoang Ngoc Minh Chau氏)とも個別に研究内容の検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度に入ってから、カウンターパートとなっているフエ科学大学にてベトナム地理学会が開催されることが決まり、海外共同研究者もそれに関わることになったため、予定しては調査を行うことができなかった。その点で、やや遅れていると認識しているが、一方で、北部地域における予備調査に集中することができ、今後に向けて貴重な知見を得られた点はよかった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度収集した中部地域のデータ、今年度収集した北部地域のデータをもとに、今後、アンケート調査と聞き取り調査を中心とした、フィールドワークを展開していきたい。また研究代表者の本務校での環境が採択当初と変わり、長期の出張が実質困難となっていることから、海外共同研究者との連携をより深める一方で、フィールドワークを複数回に分割する、など工夫して進めていきたい。
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Causes of Carryover |
予定していた現地調査が延期になったため。31年度に合わせて実施する予定である。
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Research Products
(8 results)