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2017 Fiscal Year Research-status Report

坤輿万国全図と国民的教養の基盤形成

Research Project

Project/Area Number 16K03210
Research InstitutionNational Museum of Japanese History

Principal Investigator

青山 宏夫  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (00167222)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords坤輿万国全図 / マテオ=リッチ / 地図史 / 地理思想
Outline of Annual Research Achievements

近世日本における坤輿万国全図の普及過程を具体的に検討するために、その模写に注目して模写図の検討を行った。とくに、仙台を中心とする東北地方に次いで多くの写本が集中しながら、その理由やそれらの写本の成立経緯などに不明の点が多い伊勢国について検討した。
現在、伊勢国に残されている3点の模写図について、前年度の原本調査の成果も踏まえて検討した結果、そのうちの1点である亀山市歴史博物館所蔵図は、かつて三重県に存在し現在は京都大学附属図書館に所蔵されている坤輿万国全図原刊本からの模写であるという従来からの推定が誤りであり、これまでに知られていない原刊本からの写本であることを明らかにした。また、これら3点の模写図の検討により、これまで知られていなかった2点の模写図が存在していたことを新たに指摘した。これら2点の模写図は、現在未発見であるが、既存の模写図や関係資料の詳細な比較検討により、それらが現存するどの原刊本とも異なる内容をもつ模写図であることを実証した。さらに、以上の計5点の模写図は、相互に模写や参照の関係にあり、それらに関わった伊勢国における地方文人のネットワークの一端を明らかにした。
また、模写者が明らかになっている彦根城博物館所蔵図(井伊家旧蔵)の検討によって、その原図として、これまでに知られていない模写図の存在と、その所持者が津軽藩医の樋口道泉であることを確認した。そのうえで、そこに記載された校訂内容や欠損状態の模写の一致などから、北陸の某家所蔵図と密接な関係を有する模写図であることを実証した。
これらの研究成果は、史学研究会大会(京都大学)で「近世日本における坤輿万国全図の広がり」として発表した。また、成果の一部については、台湾・逢甲大学の招聘を受けて、同大学が主催する国際シンポジウムの基調講演において報告した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

坤輿万国全図の普及過程を考察するために重要な論点の1つである同図の模写過程に関して、具体的に実証することができた。とくに、新たに3点の模写図の存在を指摘できたことに加えて、伊勢国のように一定の地域的な広がりのなかでの普及のあり方を明らかにすることができた。また、その成果を国内の学界のみならず国際的にも発信し、英語論文を海外の出版社から刊行する準備も進めた。資料調査についても、これまであまり公開されず、調査・研究もほとんどなされていなかった資料を中心に詳細に調査することができた。以上の諸点から、計画は順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

平成28、29年度の成果を踏まえつつ、さらに国内に現存する主な坤輿万国全図の模写図の調査を進める。また、近世に刊行された坤輿万国全図系統の世界図の調査を進め、近世後期におけるいわゆる「マテオ=リッチ系世界図」の成立過程を明らかにする。以上の調査・検討にあたっては、既往の研究を批判的に検証し、①「マテオ=リッチ系世界図」の定義の再検討、②坤輿万国全図系統の刊行世界図の再分類、③坤輿万国全図系統の刊行世界図の意義等に注目して進め、当時の思潮や学問動向にも留意する。その研究成果については、英語により国際的に発信する。

Causes of Carryover

当初計画していた個人の所蔵する資料の調査が、所蔵者の都合により本年度実施できないこととなったために残額が生じた。当該資料については、次年度に改めて実施する計画であるが、なおも実施不可能となった場合は、別の資料を新たに加えて調査を実施する。この点以外には当初計画に大きな変更はない。研究の推進方針にしたがって、調査旅費、図書購入経費、研究成果公表のための経費等として使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2017

All Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 2 results)

  • [Presentation] 近世日本における坤輿万国全図の広がり2017

    • Author(s)
      青山宏夫
    • Organizer
      史学研究会
    • Invited
  • [Presentation] 地図空間と地理思想2017

    • Author(s)
      青山宏夫
    • Organizer
      The 9th International Conference on Taiwanese Historical Documents and History
    • Int'l Joint Research / Invited

URL: 

Published: 2018-12-17  

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