2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03213
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉田 栄人 東北大学, 国際文化研究科, 准教授 (10240285)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 先住民 / 多文化主義 / 文学 / マヤ語 |
Outline of Annual Research Achievements |
メキシコにおける多文化主義イデオロギーの登場は文学作品における先住民表象にどのような影響を与えたのか、またそれは今日の先住民自身の文学的実践とどのように結びついているのかを検証するための第一段階として、本年度は先住民を主人公とした文学作品の洗い出しとその描写の文学史的背景について確認する作業を行った。ただし、多文化主義「以前」を歴史的に遡れば、際限なく研究対象が広がるので、本研究では最初の計画ではその範囲を国民国家の建設が始まる植民地支配からの独立以降、特に先住民社会の国家への積極的な統合が押し進められることになるメキシコ革命(1920年)以降としていた。しかし、先住民をテーマとした文学作品はインディアニスモ文学もしくはインディヘニスモ文学と呼ばれるが、この文学的ジャンルはヨーロッパのロマン主義文学に実質上の起源を持ち、この系譜につながる文学作品が他のラテンアメリカ地域で多く執筆されており、それとの関係性を明らかにすることも重要であることが判明したため、対象を19世紀まで広げるとともに、時期を同じくして展開したアンデス地方のインディアニスモ/インディヘニスモ文学も併せて整理を試みた。 また、文献調査だけでなく、多元主義イデオロギーの下で展開する文学的実践に関するフィールドワークも併せて行った。今年度は、世界母語デーに併せてCDIやINALI、 INDEMAYA、FILEYなどが実施した様々な文学イベントに参加し、そこで語られる先住民文学についての言説を収集するとともに、参加していた先住民作家たちに予備的なインタビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象となる文学作品を19世紀のものまで広げ、また地域的にもメキシコだけでなく、ラテンアメリカ地域全体にまで広げたこともあり、先住民がテーマとなる文学作品の全体像の把握に予想以上の時間がかかった。だが、研究としては長足の進展が得られたと言える。 先住民作家の文学的実践に関する調査としてはカンペチェ・カルキニ村のブリセイダ・クエバスにインタビューする予定であったが、コンタクトをとることができず、彼女へのインタビューはできなかった。だが、参加した様々な文学セミナーのイベントでホルヘ・ミゲル・ココムなどその他多くの先住民作家に知己を得ることができたことで、今後の調査への大きな足がかりができた。 日本への招へいを予定しているソル・ケ・モーについては実際に会って承諾を得た。また、彼女の小説の中から『テヤ、母の心』と『汚れなき太陽』『タビ』などの翻訳は済んでおり、出版に向けた準備は着々と進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
収集した文学作品の読み込みと分析を行う。また、先住民文学に関連するイベント等を通じて可能な限り、先住民作家および文学セミナー等に参加する人たちがマヤ語文学について考えていることを聞き出していく作業を行う。 翻訳の出版は彼らの活動を活性化する上で極めて重要な意味を持つので、早く出版してもらえるように出版社を探す。
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