2018 Fiscal Year Annual Research Report
Folklore research on the intersection of life improvement instruction and social education in government-made movements under the wartime regime
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16K03215
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
和田 健 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (20292485)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 生活改善 / 農山漁村経済更生運動 / 民俗 / 官製運動 / 陋習 / 美風 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、昭和10年代半ばにあたる戦時体制下で、日常の生活習俗が官製運動と通俗教育によりいかに系統化が進められ、日常生活の習俗について「美風」と「陋習」の区別をより一層強化していった過程を考察するものである。具体的には農山漁村経済更生運動の更生指定村であり、かつ生活改善運動における生活改善同盟会の活動を行っていたむらを対象に、新たに「模範」とされたむらの生活習俗と通俗教育の関わりの中で、民俗調査を通じて得た聞き取り資料をもとに、その仕組みを明らかにすることをめざした。あわせて『村』(農村更生協会)、『生活』(生活改善同盟会)そして産業組合中央会の『家の光』といった機関誌を対象に、官製運動で使われたこの時代のメディアと生活習俗の関わりについても考察した。その上で衛生に関わる生活改善指導と日常生活のあり方についても合わせて考察を行った。 その結果、以下の2点での成果を確認することができた。 (1)更生指定町村が指定前に生活改善規約を作り遵守する取り組みが行われていた組合および任意の小集団があったところは、行政町村単位にその取り組みを広げ、旧来の近隣つきあいを超え、行政町村単位で生活習俗を整えていく流れを確認した。その過程において、これまで行ってきた民俗慣行に「陋習」「弊風」と評価した上での改善指導を行ったもの、また行政町村統一した新たな取り組み(合同法会を行う、全町村統一の神社祭礼を行う、町村単位の運動会を行うなど)を「美風」とした上で、よき慣習として定着すべきであるという言説が機関誌はじめ村報や貼り紙などを通じて行われていた。 (2)また機関誌を通じて衛生に関わる具体的な取り組みが紹介され、便所や上下水の対策に関わる施策、寄生虫に対する考え方などが広く啓発され、具体的な取り組みが行われてきた。
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Research Products
(3 results)