2019 Fiscal Year Annual Research Report
Legal Anthropology on Multiple Aspects of Customary Law in Contemporary Papua New Guinea
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16K03238
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
馬場 淳 和光大学, 現代人間学部, 准教授 (60615128)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 慣習法 / 成文化 / 書類 / 衝撃研究 / 民族誌 / マヌス / パプアニューギニア / オセアニア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、パプアニューギニアにおいて、社会文化的・経済的・生態学的条件が大きく異なる二つの調査地を対象に、(1)村落裁判と(2)その他の 法-社会的局面における慣習法の実態資料を収集し、(3)慣習法の現代的意義やその地域的特性を明らかにすることである。最終年度(令和元年度)の目的は、引き続き実地調査を行うとともに、その成果(英文報告書)を公表することであった。 馬場は令和2年1月にマヌス州にて継続調査を行うとともに、これまで執筆を進めてきた英文報告書(草稿)の最終確認(現地語表記、写真の掲載や名前の記載方法など)を現地の人々とともに行った。石田(連携研究者)は、予定通り、(3月下旬から)4月上旬にエンガ州にて現地調査を行い、民族誌資料や文献史資料を収集した。 馬場は、慣習法の成文化の前提となる「書かれたモノ」について、5月に日本法社会学会・研究大会で口頭発表「法人類学と存在論――法文書をめぐるエージェンシーとコミュニケーション」を行い、12月に論文「書類と/のエージェンシー」(杉島編『コミュニケーション的存在論の人類学』臨川書店)を公表した。 年度の終りには、当初の研究計画通り、英文報告書「Protecting Family in Contemporary Papua New Guinea: An Ethnographic Study of Legal Impact on Manus Islanders」(本文135頁)が完成した。とくにDV(ドメスティック・バイオレンス)に対する新しい家族保護法(Family Protection Act)の運用実態を記述・分析した本書の第10章は、慣習法の問題としてだけではなく、管見の限り、最初の法の衝撃研究(Impact Study)として、パプアニューギニアにおいて貴重な資料となるだろう。これをもって、当初の計画は完了した。
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