2019 Fiscal Year Annual Research Report
Anthropological Studies of "Community Care" by Collaborating with Mental Medicine and Religion
Project/Area Number |
16K03239
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Research Institution | Sagami Women's University |
Principal Investigator |
浮ヶ谷 幸代 相模女子大学, 人間社会学部, 教授 (40550835)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 小規模多機能ホーム / カフェデモンク / 地域まるごとケア / 鞆の浦さくらホーム / 精神障がい |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度において、主なフィールドワークは3点である。①2018年9月から活動している〈カフェデモンクえりも〉in厚真での活動の調査と、②小規模多機能ホーム〈いろり〉での調査と、③浦河ひがし町診療所のスタッフ、研究協力員の高田大志氏と塚田看護師と一緒の広島県鞆の浦の〈さくらホーム〉の視察見学である。①では、〈カフェデモンクえりも〉の進行係を務めていた診療所のデイケアのメンバーであるYさんとTさんの活動に焦点を当てた調査を行った。被災者への傾聴活動を通して、彼らは進行係に止まらない新たな役割を見出したことがわかった。この成果については論文「文化人類学者がみた対話の力」『パペットセラピー学会』(2019年)でまとめている。 ②では、〈いろり〉の地域での活動の展開と、新たな課題について調査した。認知症高齢者が通うだけではなく、えりも中学校の不登校の生徒が通い、学校へ復帰するきっかけとなったり、〈いろり〉の一室を懇談の場として地域に提供している。秋には、周辺地域の住民に声かけをして〈いろり〉祭りを主催している。他方で、利用者のニーズとスタッフの仕事とのバランスが難しく、ケアの在り方にも濃い/薄いがあり、薄口のケアを模索していることがわかった。さらに、民博の共同研究の一環で〈いろり〉のスタッフの一人に、実母の在宅看取りについてインタビューを行った。 ③広島県福山市の鞆の浦に開設されている地域密着型小規模多機能ホーム〈さくらホーム〉を見学し、施設長の羽冨美江氏にインタビューした。この施設は複合的な施設であり、各施設から半径400メートルの範囲内の住民をカバーするように配置されている。「地域まるごとケア」を目指し、鞆の浦町内で歩いて通える生活圏内でサービスを提供することを目指している。えりも町の〈いろり〉が目指す原型の一つとなることがわかった。
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Research Products
(4 results)