2017 Fiscal Year Research-status Report
美容整形の受容と拡大が照らし出す日本社会と韓国社会
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16K03240
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Research Institution | Shoin University |
Principal Investigator |
川添 裕子 松蔭大学, 公私立大学の部局等, 教授 (10400821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金 振晩 帝京大学, 経済学部, 准教授 (60554160)
金 宰郁 松蔭大学, 公私立大学の部局等, 講師 (00799926)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 美容整形 / 普通 / 美 / 日本 / 韓国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,日韓の美容整形の展開を政治経済の文脈に位置づけ,日本の「普通」感覚・理想美の変化,及び90年代以降の韓国における美容整形展開の経緯を明らかにすることを目的としている. 29年度,日本では,明治以前にさかのぼって医療史,美の変遷を概観し,文献,関係者への聞き取りから医療行政の面について考察を行った.医療観光のコンテンツとしては,消極的なクリニックの方が多いと考えられる.整形経験者には,極めて限られた人数ではあるが,継続して聞き取り調査をしている.90年代末には,美容整形のブレーキでもあった「普通」文化は,既に,反転して美容整形促進に向いているように思われる.歴史と突き合わせると,儒教規範は,近代的身体観と伝統的規範の橋渡しという役割と終えたと見ることはできるが,相変わらず日本の整形経験者の秘匿意識は高いので,さらなる考察が必要である.韓国については,関係学会への聞き取りから,日本同様の形成外科とそれ以外の医師による組織的な対立が顕在化しつつあるのが明らかになった.また美容整形をテーマにしている研究者と意見交換を行った.29年度から加わってもらった研究分担者を介して,韓国の美容整形クリニック院長への聞き取りを行った.韓国,日本,中国の患者の差異については,30年度に外科医及び経験者の聞き取りを加えて分析する.韓国における医療観光政策は,同じく29年度から加わってもらった研究分担者に協力を依頼している.30年度に,共同で聞き取り調査を実施して,まとめに入る予定である. なお,英国Palgrave Macmillan社の「Palgrave Studies in Fashion and the Body」シリーズ刊行を目標とする国際共同研究に加入した.成果の英文発表,ネット公開の着手を始めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本では,外科医から紹介を受けた人や個人的な人脈を通してを通して,複数名の経験者に継続的に聞き取りを行っている.韓国での現地調査によって,関係学会での聞き取り,研究者とのディスカッションを,美容外科クリニックでも聞き取りは行えた.日韓ともに,経験者への聞き取り,医療観光の面は,まだ十分とは言えないが,当初の計画にはなかった国際共同研究への加入もあり,総合的に見れば,順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は報告書に向けて,これまでの不十分な箇所(経験者の聞き取り,医療観光との関係,韓国の美意識の変遷)を深め,31年3月に,日韓共同での討論会を年度末に実施する.日韓における美容整形の需要と拡大の経緯,身体文化の諸相,医学会の変化を,日本と韓国それぞれの社会との関係から検討得る予定である.成果は,日本語話者以外,また一般の人にも届くように,英語で,Webに掲載する.
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Causes of Carryover |
29年度に実行した英語校正,出張,文献などの支払いの一部が,大学内の29年度使用額の支払い締め切り期日に間に合わず,次年度使用額が生じた.
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Research Products
(9 results)