2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K03242
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
中山 紀子 中部大学, 国際関係学部, 教授 (00288698)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 移民 / 女性 / トルコ / スカーフ / ファッション / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、申請者が20年前に長期の人類学的調査を行なったトルコのある農村からヨーロッパ、おもにドイツに移住した女性たちのライフヒストリーを集め、彼女たちの生活のなかで重要な位置を占める出身地の村とのネットワーク関係に注目し、国際移動というグローバルな状況のなかでよりよい生活を目指して彼女たちがとる生活戦略を文化人類学的に考察することである。現在のトルコ農村女性の移民状況を明らかにするために、初年度である今年度では、その前提となるトルコ女性全体の状況の把握を試みた。 20年前の調査時に検討した女性のありかたにおいて、スカーフ着用をめぐる問題が農村女性とそれ以外の女性を分けるテーマとして立ち上がっていた。ところが、現在のイスラーム・ファッションの隆盛によってこのテーマが新たな展開を見せている。調査当時は、トルコの都会において女性のスカーフ着用が世俗主義者かイスラーム主義者かを分ける政治的な象徴になっていたが、そのいっぽうでスカーフ着用に融通無碍に応じる農村女性が、トルコの「現代化」を体現する存在ではないかと報告者は結論付けた。現在のファッショナブルなスカーフ着用の隆盛がどのように「現代化」と関わるのかについて検討を行なったところ、スカーフ着用がかつて「宗教的」よりも「政治的」となっていったとみなされていたように、現在は、「政治的」よりも「商業化」「商品化」とみなす必要が出てきていることが理解された。今年度はトルコにおいての状況を検討したが、今後はドイツなど移住先でのスカーフ着用がどのような状況にあるかを実地調査を踏まえて検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
20年前に現地調査を行なった際に得た民族誌的資料を謝金を使ってより精緻なデータ化を行なうことができた。その結果、女性にかかわる重要なテーマを複数発見することにつながった。しかしながら、予定していたトルコへの実地調査を現地の治安情勢の悪化により見合わせたため、現地の現在の状況を確認することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は治安情勢を考慮しながらトルコへの実地調査を遂行する。状況によってはドイツへの調査を先行させることになるかもしれない。全体の方向性としては、初年度における民族誌的資料のデータ化によって重要性を確認したテーマを継続して検討したい。ひとつには、ドイツにおけるトルコ人移民女性たちのファッションのありかたに注目したい。また、報告者が調査した農村とは異なる移民状況(女性が独りで移民する)にあるトルコの村、およびドイツでの状況を詳述した先行研究を見つけているので、その先行研究との比較を行ないたい。さらに、方向は少し異なるかもしれないが、女性である報告者がトルコの農村でフィールドワークをすることによって生じる様々な事象を改めて検討してみたい。初年度に引き続き、民族誌的資料のデータ化を行ない、それらを現在の問題と関連させて検討していく。
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Causes of Carryover |
現地の治安情勢の悪化によりトルコへの海外旅費を使用しなかったのが、大きな理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は現地の治安状況をみて、トルコへの海外調査を行いたい。また、トルコだけではなく、トルコ人移民の多く住むドイツなどでも調査を行う予定である。同時に、20年前に行なった現地調査を基に出版した研究業績(例えば、『イスラームの性と俗ーートルコ農村女性の民族誌』(1999年))を謝金を用いてトルコ語に翻訳することも考えている。
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