2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03242
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
中山 紀子 中部大学, 国際関係学部, 教授 (00288698)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 女性 / イスラーム / トルコ / スカーフ / ファッション / ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に論考したイスラームのスカーフ着用をめぐる問題を「テセッテュル(tesettür)とヒジャブ(hijab)についての覚書き」(『貿易風』v.16)のタイトルで出版した。また、そのエッセンスをコラムとして「ヒジャブが日本のファストファッションに出現!」(『新版国際関係論へのファーストステップ』)に掲載した。類似のテーマで行われた研究会「現代ムスリム社会における風紀・暴力・統治についての多角的分析」(早稲田大学イスラーム地域研究機構、2017年10月14日)において2つの発表「風紀はどうつくられるのか:ムスリム女性の装いをめぐる事例から」と「モールとムタワ、そして国家:サウジアラビアの事例から」に関してコメンテーターをした。また、アフリカ研究者の多い研究会で「アタテュルクのイスラーム政策:トルコの近代化と女性をめぐる議論を中心に」(「アフロ・ユーラシア内陸乾燥地文明の近代動態」、2018年2月2日)を発表したが、スカーフ問題がアフリカではそれほど際立った問題になっていないことに気づき、宗教の表象の問題に地域差があることを改めて興味深く思った。 20年前に行なったトルコ農村で得た民族誌資料の整理・分析に着手した。謝金を使ってデータ入力を行い、映像のデータ化が簡便にできるパソコンを購入した。また、この現地調査をもとに出版した『イスラームの性と俗ートルコ農村女性の民族誌』(1999年)のトルコ語訳を依頼した。また上記の論文「テセッテュル(tesettür)とヒジャブ(hijab)についての覚書き」の英語訳も依頼し、それぞれの訳者と翻訳上の問題をやり取りしている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究論文の出版、複数の研究会での発表などにより、研究の深化が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
調査地の村出身の女性たちとコンタクトを密にし、人間関係を継続しながら双方に都合のよい状況で調査を実施する。ドイツとトルコの両地域における信頼関係が重要である。また、トルコの農村女性というテーマを中心にしながらも、トルコではないが同じイスラーム社会に生きる女性たちの状況にも目を向け、比較の視点も取り入れたい。前年度に引き続き、民族誌的資料の整理・データ化を行い、それらを現在の問題と関連させて検討していく。
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Causes of Carryover |
初年度である2016年に調査に行く予定であったトルコで政変があり、調査を見合わせたため、次年度使用額が生じた。本年度においては、トルコに関する著書の翻訳料などに使用する予定であるが、状況をみて、補助事業期間延長を申請することも考えている。
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Research Products
(6 results)