2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research on dispute settlement system over Shinto dispute
Project/Area Number |
16K03254
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中川 学 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (60250651)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 神社争論 / 訴訟 / 上賀茂神社 / 朝廷 / 幕府 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本近世における宗教をめぐる紛争とその解決に関する研究はいまだ少なく、議論も幕府・朝廷の裁判をめぐる主導権争いという枠組に止まっていた。これに対し、私は18世紀半ばの神社紛争において、幕府・朝廷双方が裁判を譲り合い、交渉で解決方法を決定していたことを明らかにした(中川学「神社争論をめぐる朝廷と幕府の裁判」)。幕府・朝廷の主導権争いから、交渉に基づく紛争解決へと変化した歴史的背景は、朝廷への訴訟を希求する新たな社会の動きとそれに対応した朝廷による紛争解決機能の変化にあるのではないか。 本研究の目的は、京都の巨大神社である賀茂別雷神社(通称:上賀茂神社)を対象に、18世紀における諸紛争の構造を朝廷との関係を中心に明らかにすること、紛争をめぐる朝廷・幕府の裁判と朝幕交渉とを検証し、朝廷の紛争解決機能の変化とその政治的・社会的背景を解明することにある。 最終年度には、東京大学史料編纂所等における神社争論に関する基本資料についての補足調査・分析を進めた。また、7月には「近世の宗教と社会研究会」(早稲田大学で開催)に参加し、宗教関係の史料や研究に関する情報交換・情報収集をおこなった。 これらを踏まえて、研究の成果の1つを、中川学「近世の神社内争論と天皇・朝廷-上賀茂神社の社職補任をめぐる争論から」(『新しい歴史学のために』294、京都民科歴史部会、14頁、2019.5 掲載決定)として投稿・公表した。
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