2020 Fiscal Year Annual Research Report
Law and Development Study of the Inclusive Civil Laws in Indochinese Countries
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16K03268
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松尾 弘 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 教授 (50229431)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ベトナム / ラオス / カンボジア / 法整備支援 / 開発法学 / インクルーシブな発展 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究対象国の1つであるラオスでは,2018年12月6日ラオス国会で初めての民法典が成立したが,国家主席令による公布および官報掲載が遅れたため,予定していた2019年8月の調査時に民法の普及状況やそのための取り組みを調査することができなかった。その後,2020年3月に国家主席令によって民法典が公布され,5月11日に官報に掲載,5月27日に施行されたことから,2020年度に調査を実施した。 民法典施行後,ラオス政府は司法省,検察院,裁判所,大学等からなる民法典普及活動のための組織を編成し,ラオス各地で民法普及会議を開催することを通じて,民法典の特色,現行の個別法との主要な異同について説明し,参加者からの質問を受け付ける等の活動を実施している。これは,民法典の知識をより広い範囲の国民に広めるとともに,民法典について司法省,検察院,裁判所,大学等の比較的若手の担当者自らが民法典についての専門家的理解を深め,プレゼンテーションを行う能力の涵養にも役立っていると評価できる。 また,民法典の施行に伴って新たに導入された地役権,地上権等を土地登記簿に反映させるための土地法の改正および下位法令の制定作業も進んでおり,関連する複数の省庁を跨いで民法典の実施に向けた態勢も整備されつつある。これもまた,民法典の実施に向けた関係官庁の活動の広がりも,民法典施行後の重要な動向である。 これらの諸活動は,民法典を国民への適用のレベルでも,政府による運営のレベルでも,実務に浸透させ,インクルーシブなものとする契機として,注目すべきものと考えられる。
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