2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Demonstrative Study on the use of the Official Contract Paper and the Order of Ownership in Late Qing China
Project/Area Number |
16K03269
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 秀光 京都大学, 法学研究科, 教授 (30361059)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 官契紙 / 官契 / 契紙契根の法 / 紛争抑止 / 土地所有権 / 税契 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、清代後半における官契紙普及の時期的および地域的な広がりとその機能の解明、そして官契紙普及を前提とした所有権秩序の在り様を模索することである。最終年度にあたる平成30年度は、前年度に引き続いて官契紙および関連する資料の収集・分析を行う一方、その分析結果の検討を行い、以下のことを明らかにした。 清代後半における官契紙の使用については、まずその前史として雍正年間に全国レベルで実施された「契紙契根の法」を見逃すことができない。これは契税の確実な徴収を期するという財政面を主な目的として、従来の契尾を廃止してその機能を吸収した形の官契紙として省単位で実施されたものであった。しかし従来の契尾よりも弊害が多いとして、乾隆帝即位直後に廃止となり、またそれに伴い従来の契尾が復活した。 その後に展開された清代後半における官契紙の使用は、基本的には州県を単位して乾隆期以降一貫して用いられつつも、清末の同治・光緒期になると地域的にも分量的にも増加の傾向が見られた。その目的は、契尾と組み合わせて契税の確実な徴収を期するという財政面を主な目的とするものが存在する一方で、契約の様式を統一することで契約内容を明確化して土地紛争を抑止することを目的とするものも存在するなど、現場レベルにおける官主導での土地所有権秩序形成に向けた動きも見られた。そして清末における官契紙の増加傾向とは、後者の目的を意識しつつも、基本的には前者の目的で用いられたものと考えられ、その延長上に20世紀初頭における全国レベルでの官契紙の使用が位置づけられることとなった。 以上の内容については、平成31年4月20日に中国の福州大学で行われた国際シンポジウムにおいて、「清代後期官契紙的使用状況」という題目で報告を行ったほか、その内容をさらに手直しをして後日論文として公表する予定である。
|
Research Products
(1 results)