2019 Fiscal Year Research-status Report
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16K03270
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
高 友希子 法政大学, 法学部, 教授 (40454962)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ユース / 良心 / 大法官府裁判所 / エクイティ |
Outline of Annual Research Achievements |
セント・ジャーマンと匿名の上級法廷弁護士の間で展開された論争およびそれに関連する資料の検討を通じて、大法官府(裁判所)における救済を可能にした罰金付召喚令状の正当性や妥当性、罰金付召喚令状のイングランド法における位置づけや、当時、社会で問題となっていたユースに対するセント・ジャーマンの見解を明らかにした。その上で、セント・ジャーマンが主張する「良心」のもつ意義や限界、現実社会との関係について検討し、論文にまとめて公表した。 セント・ジャーマンが大法官府の運用を通じて目指したコモン・ロー・システムの在り方を理論の点から明らかにしていく作業が一段落したので、大法官府における現実に研究の対象を移した。当初は大法官府における商業事例を中心に調査・検討していく予定であったが、セント・ジャーマンと匿名の上級法廷弁護士の論争について研究を進めた結果、大法官府の理念と現実、更に言えばコモン・ローとエクイティの関係について検討を進めるためには、大法官府/エクイティの側からのアプローチだけでは不十分であり、また一方だけでは限界があることが明瞭になったため、エクイティ発展の契機となるユース(信託の前身)をめぐるコモン・ロー裁判所の対応に焦点を絞って、土地の権原/権限の在り方について検討していくことにした。その方針に従って、ユースが発展してくる時期のイングランドにおいて展開された土地の占有(権)をめぐる争いについて調査・検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大法官府(裁判所)の理念に関する論文を公表し、これまでの遅れを取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
大法官府(裁判所)の「理念」に関する研究に一区切りつき、昨年度から「現実」に相当する具体的な事例について研究しており、今後も事例の調査・検討を中心に進める予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)検討対象を変更したことにより、新たな資料調査が必要となったが、すでに収集済みの資料の解読から研究を進めたため、調査・収集の時間が不足してしまった。 (使用計画)過年度にやり残した調査を積極的に進める。文献・資料の検討を進め、論文にまとめる作業に入る。
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