2019 Fiscal Year Annual Research Report
Protection of Rights of Persons with Disabilities in China: Development in Local Laws and Regulations
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16K03277
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
小林 昌之 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター, 主任調査研究員 (60450467)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 障害 / 障害法 / 中国法 / 障害者権利条約 / 人権 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度においては、補足的に文献調査を進めたほか、これまでの研究の確認および最新状況の把握のために現地調査を行うとともに、研究成果に関する講演会を実施した。 まず7月に、2018年度の現地調査および公刊した研究成果の柱の1つであった「バリアフリー環境建設条例」など中国における障害者のアクセシビリティに関する講演会を実施し、参加者との意見交換を行った。 10月には北京市を訪問し、北京大学において、北京大学法学院、清華大学法学院、中国社会科学院法学研究所の研究者らと、障害法に関するワークショップを開き、意見交換を行った。社会法は、契約の自由などの私的自治を基本とする市民法がもたらす問題に対して、福祉、労働、消費者保護といった分野でその問題を解決することをめざすものであるが、障害者に関しては、障害者保障法以外の法律が適用される主体としては意識されていないことが明らかになった。 また1月には南京市および北京市を訪問し、障害当事者団体および障害者へのサービス・プロバイダーへのインタビューを実施した。障害者権利条約は、代理決定の側面が強い後見(監護)制度ではなく、支援付き意思決定への移行を求めている。しかし、中国では、障害者の自立した意思決定に関しては、一般的に、否定的である。国は、家族が監護すべきという強い方針を掲げる一方、家族は重い責任を負うことを嫌がる傾向にあり、末端の家族と上層の国の考えが真逆となっている。このことは、地方性法規に対する期待と限界とにかかわってくる。 10月と1月に実施した現地調査では、障害法、社会法を専門とする研究者と実務家と意見交換を行い、これまでの調査および研究内容について確認することができた。これをもとに研究成果をとりまとめ、その一部として、中国における障害者の法的能力に関する論考がまもなく公刊される。
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Remarks |
講演:「中国のバリアフリー環境建設の課題」夏季公開講座(JETRO) 7月31日
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