2016 Fiscal Year Research-status Report
公務員法における法治主義原理のあり方に関する研究--フランス法理論を参考に
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16K03280
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
下井 康史 千葉大学, 大学院専門法務研究科, 教授 (80261262)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 公務員法 / フランス官吏法 / 法治主義原理 / 法律の留保 / 公務員争訟法制 / 行政争訟 / 行政訴訟 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、まず、行政法総論における法律の留保論の分析を踏まえ、公務員法の特殊性を踏まえた行政法総論理論の修正という視点から、我が国の現行公務員法を精査した。この点に関する本年度の成果は、「第15条(任用の根本基準)」「第16条(欠格条項)」晴山一穂=西谷敏編『新基本法コンメンタール地方公務員法』(日本評論社、2016年)68~71頁、74~77頁、「組合事務所としての使用目的で認められてきた行政財産目的外使用を不許可としたことの支配介入該当性」中央労働時報1215号(2017年)18-26頁、「地方公務員法における「公務員」の意味」自治実務セミナー2017年4月号(2017年)38-43頁,「公共部門労使関係法制の課題」山川隆一他編『講座・労働法の再生第1巻 労働法の基礎理論』(日本評論社、2017年5月公刊予定)である。 次に、法治主義の実現には適切な争訟法制の整備が必要であるという学界の共通認識に基づき、行政争訟法全体を視野に入れつつ、公務員争訟法制のあり方を検討した。公務員法以外の分野にも視野を広げた行政訴訟法研究の成果として、「労災保険金支払請求権と行政庁の処分」岩村正彦編『社会保障判例百選(第5版)』別冊ジュリスト227号(2016年)124-125頁がある。さらに、「抗告訴訟と当事者訴訟の関係について--判例の検討と法改正論」判例時報2308号(2016年)25-30頁においては、2016年7月30日に立命館大学で行われた第16回行政法研究フォーラムでの報告「各訴訟の役割分担について--判例の検討と法改正論」を基に、行政訴訟制度全般を検討する中で、公務員法に特化した問題点も検討した。 フランス官吏法についての研究成果は未公表であるが、2016年に改正された官吏法制の内容を精査しつつ、同改正の理論的背景を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、フランス法を参照しつつ、立法論と解釈論のいずれをも嚮導し得る、法治主義原理を踏まえた公務員法の基礎理論を再構築しようとするものであり、具体的には、法律の留保について、公務員法における留保の範囲如何、及び、留保事項における法律の規律密度のあり方を検討し、他方で、行政規則について、公務員法における法規性・裁判規範性の承認の可否を、そして、承認できるものがあるとして、その範囲や効果を考察しようとするものである。 かかる目的の下、平成28年度は、日本法については、行政法総論における法律の留保論の分析と、公務員法における(ア)必要的法律事項、(イ)任意的法律事項、(ウ)(必要的)協約事項の振り分けの基準、及び、各事項の具体的内容や規律密度のあり方の精査と、フランス法については、官吏法の具体的内容を分析し、日仏における法律規律事項との比較を試みることを予定していた。 このうち日本法については、上記(ア)~(ウ)の各点を精査するためには、現行実定公務員法における解釈論上・法制度上の問題点を洗い出すことが不可欠であること、また、法治主義原理の実現には、適切な争訟法制の整備が必要であるという認識のもと、実定公務員法における解釈論上の問題点の洗い出しに加え、争訟法制につき、行政争訟法制一般を視野に入れた上での公務員争訟法制の考察を行い、それらの成果を公表することができた。 フランス法についても、従来の研究によって得られた知見を基に、官吏法の具体的内容を分析した。とりわけ、2016年に、フランス官吏法が大きく改正されたため、その内容を精査しつつ、同改正の理論的背景を検討した。 以上のことから、研究の目的はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降の研究推進予定は以下の通りである。 まず、日本法については、引き続き、行政法総論における法律の留保論の分析と、公務員法における(ア)必要的法律事項、(イ)任意的法律事項、(ウ)(必要的)協約事項の振り分けの基準、及び、各事項の具体的内容や規律密度のあり方を精査するとともに、かかる精査に不可欠である、実定公務員法上の解釈論上・法制度上の問題点の洗い出しを継続する。同時に、行政争訟法制全般を視野に入れた公務員争訟法制の検討も行う。併せて、平成29年度からは、公務員法における行政規則の法的性質に関する解釈論的研究を開始する。その際、公務員法のみならず、行政法一般における行政規則論も視野に含める。これは、行政法総論における行政規則論の分析を踏まえた、公務員法の特殊性を踏まえた行政法総論理論の修正という視点から、公務員法における行政規則のあり方を考察する研究である。 フランス法については、官吏法の具体的内容を分析し、とりわけ、2016年改正官吏法の影響や、同改正の問題点について、学説判例の動向を考察する。同時に、行政法総論における行政規則論を踏まえつつ、公務員法において、いかなる行政規則にどのような法的位置づけがされているかを考察する。
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Research Products
(7 results)