2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03281
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増井 良啓 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (90199688)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 税の透明性 / 実質的支配者 / 共通報告基準 / Tax transparency / Beneficial owner / CRS / MLI / BEPS |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画に従って,次の3つの作業を同時並行的に進めました。 *国際的フォーラムの動向の巨視的分析。OECD/G20のBEPSプロジェクトのもたらす影響につき,各国の専門家との共同研究として,「Impact of BEPS Actions on Theoretical and Legal Frameworks」 Sam Sim and Mei-June Soo ed., "Asian Voices: BEPS and Beyond" 285-295(IBFD, 2017.07)を公表しました。また,IMF/OECDの報告書につき,日本租税研究協会の研究会で検討した結果を,「『租税の確実性』報告書を読む」租税研究815号156-163頁(2017.09)として公表しました。 *租税条約上の制度の個別的分析。BEPS防止措置条約につき,「(学界展望)OECD, MULTILATERAL CONVENTION TO IMPLEMENT TAX TREATY RELATED MEASURES TO PREVENT BASE EROSION AND PROFIT SHIFTING (November 2016, 48pp.)」国家学会雑誌130巻7=8号565-569頁(2017.08)で紹介し,若干の分析を加えました。 *国内法上の制度の横断的分析。課税目的やマネロン規制目的で法人や信託の実質的支配者を開示させようとする動きについて,「『グローバルな税の透明性』と信託」能見善久=樋口範雄=神田秀樹編『信託法制の新時代-信託の現代的展開と将来展望』363-378頁(弘文堂2017.11)で,近時の流れを整理し,今後の動きを展望しました。なお,判例評釈として,「税務調査と国税犯則調査」宇賀克也ほか編『行政判例百選Ⅰ第7版』(2017.11)212-213頁があります。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定していた3つの作業を同時並行的に行うことができ,この期間内に,英文論文を1編,日本語論文を1編(クレジット付き),書評ないし論文紹介を2編,判例評釈を1編,公表することができました。また,納税者情報の公開について検討を進め,脱稿することができました。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画のとおり,国際的フォーラムの動向の巨視的分析,租税条約上の制度に関する個別的分析,国内法上の諸制度の横断的分析,の3つの作業を進めます。 *国際的フォーラムの動向の巨視的分析については,平成29年度の作業を継続するとともに,新しい動向を継続的にフォローします。 *租税条約上の制度に関する個別的分析については,平成29年度の作業を継続するとともに,新しい動向を継続的にフォローします。 *国内法上の諸制度の横断的分析については,AIやブロックチェーンといった新しい技術の与えるインパクトに留意して,とくに情報の角度から検討を進めたいと考えています。勤務校の授業の枠内でも特にそのためのゼミを開講し,文献会読と議論を行う予定です。
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Causes of Carryover |
図書発注が年度をまたぎました。 次年度当初の書籍購入に充てます。
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Research Products
(5 results)