2017 Fiscal Year Research-status Report
アジア太平洋地域のVAT/GSTシステム比較:国際的調整のための検討
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16K03282
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
渡辺 智之 一橋大学, 国際・公共政策大学院, 教授 (80313443)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | VAT/GST |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度においては、研究計画に従い、研究の進展に努めるとともに、海外出張を通して、国際的な研究ネットワークの拡充に努め、海外で行われたシンポジウムに出席して研究経過の報告を行った。 まず、情報技術の進展とインボイス制度の位置づけとの関連について考察を行う観点から。現行の仕組みにとらわれない消費税の諸様式に関する比較研究を行い、その基礎的研究の成果を「消費税システムの基礎:再考」という論文の形にまとめ、『租税研究』誌2017年7月号で公表した。国際取引に適用されるVATに関するOECDの検討状況等をフォローし、論文にまとめる準備を行った。 平成29年8月にシンガポールで開催されたDigital Economy Symposium (ウィーン大学等の主催)に出席し、"Fundamental Reforms? VAT/GST under Digital Economy"と題する研究報告を行うとともに、シンポジウム参加者とデジタル経済における課税問題に関する幅広い意見交換を行った。また、平成30年3月には、ニュージーランドに出張し、ウェリントンのVictoria大学で、Prof. David White等と研究成果のフォローアップとともに、今後の研究計画についても話し合った。現在、Prof.Whiteとの共同論文を準備中である。 なお、日本の消費 の最新動向を英文で紹介するIBFD(International Bureau of Fiscal Documentation)のVAT Worldwideについては、これまで通り、年2回の改訂作業を続けた。 30年度については、29年度までに達成した基礎的な成果をもとに、海外の研究者と協力しつつ、アジア太平洋地域のVAT/GSTシステムの比較作業を行っていくこととしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の研究期間の2年目においては、初年度の基礎的検討をさらに進めるとともに、研究者間の国際的ネットワークをさらに具体的に拡充することができたという点で、研究計画はおおむね順調に進展していると評価できる。また、予定通り、OECDにおける新たな動きについても引き続きフォローアップを行うことができた。 特に29年度においては、シンガポールとニュージーランドへの出張によって、これまではメールベースでの連絡にとどまっていた海外研究者との直接の意見交換ができたことが大きな収穫であり、これによって、今後の研究計画の進展に関してより具体的な見通しを持つことができるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に予定した通り、29年度においては、アジア太平洋地域のVAT/GSTシステム比較研究を進展させるべく、ニュージーランド等の研究者との会合を持ち、具体的な比較研究作業を行うことができた。その成果に基づき、今後は海外の研究者との共同研究の成果をまとめた論文の作成に力を注いでいきたい。また、日本の消費税の特質に関する地道な研究も引き続き行っていくことで、他国のVAT/GSTシステムとの比較作業の深度を一層向上させるよう努めたい。
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