2019 Fiscal Year Research-status Report
改正行政不服審査法の運用実態の検証を通じた解釈論,立法論の展開
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16K03286
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大江 裕幸 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (60598332)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 行政不服審査 / 審査請求 |
Outline of Annual Research Achievements |
改正行政不服審査法の整備の過程について,当時の検討会資料,各種文献を再度精査した上で,平成期における通則法整備という観点から,「不服申立ての基本構造」とその例外,公正性確保のための制度設計,救済態様の多様化の三点に焦点を絞り,意義と課題を整理した。 国の行政不服審査制度の運用について,2019年7月半ばまでに公表されている答申例172件,答申を受けてなされた裁決のうち公表されている59件全てについて詳細な検討を加え,その検討成果について同年7月20日に千葉大学で開催された第19回行政法研究フォーラムにおいて「国における行政不服審査法の運用上の課題と展望」という題目で報告した。 制度の運用に携わる関係者へのヒアリングに相当するものとして,2019年11月25日に一橋大学学術総合センターにおいて開催された「第4回行政不服審査交流会」において,審理員・同補助者関係者が意見交換を行う分科会のコーディネーターを務め,審査・審理期間の短縮の工夫,組織体制,口頭意見陳述実施上の課題,争点整理における工夫,審理員意見書における付言の活用等の問題について,運用上の課題と工夫を抽出し,主として理論面からのコメントを加えた(その概要は,行政管理研究169号(2020年3月)に掲載されている)。 行政不服審査法の逐条解説の改訂に携わり,「第2章第5説 裁決」の10条文について,初版執筆時以降の議論の蓄積や運用上の課題への対応方策を反映させた。 比較法研究について,処分の違法性と不当性の関係に焦点を当てて,ドイツ法,オーストリア法における取扱いを中心に検討を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
比較法研究について,必要な文献の入手,整理に当初の想定より時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
比較法研究について,必要な文献等を早急に入手し,処分の違法性と不当性の関係に焦点を当てて,ドイツ法,オーストリア法における取扱いを中心に検討を加え,その成果を取りまとめる予定である。 答申,裁決例の検討成果について,その後に出されたものや地方公共団体における答申,裁決にも新たに検討を加えた上で,現状と課題を提示し,課題に対する対応策を提示する予定である。
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Causes of Carryover |
比較法研究を中心とした研究の遂行状況から,研究期間を延長する必要性が生じ,追加の文献の購入費用等の必要性が見込まれる経費を次年度に繰り越したため。
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Research Products
(3 results)