2020 Fiscal Year Research-status Report
改正行政不服審査法の運用実態の検証を通じた解釈論,立法論の展開
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16K03286
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大江 裕幸 信州大学, 学術研究院社会科学系, 准教授 (60598332)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 行政不服審査 / 審査請求 |
Outline of Annual Research Achievements |
国の行政不服審査制度の運用について,昨年度の実施状況報告で挙げた第19回行政法研究フォーラムにおいて報告した内容を論文の形に取りまとめ,「国における行政不服審査法の運用上の課題と展望」という題目で公表した。その中で,報告の際に答申に付された付言のフィードバック機能の活用が今後の課題と指摘した点に関連して,付言による累次の要請に応える形で制度改善が行われる例がみられるなど,付言のフィードバック機能が活用されつつあることなどを新たに指摘した。 制度の運用に携わる関係者へのヒアリングに相当するものとして,2020年12月4日にオンライン(Zoom方式)にて開催された「第5回行政不服審査交流会」において,昨年度までに続いて審理員・同補助者関係者が意見交換を行う分科会のコーディネーターを務め,審理(処理)の迅速化,審理関係人の審理への協力状況,審理体制,審理に関係のない物件が提出された場合の対応,審理手続における押印,法31条1項ただし書に基づく口頭意見陳述の省略等の問題について,運用上の課題と工夫を抽出し,主として理論面からのコメントを加えた(その概要は,行政管理研究173号(2021年3月)に掲載されている)。 比較法研究について,処分の違法性と不当性の関係を中心に,前年度までの海外出張等を通じて収集した文献の内容を整理し,国内で入手可能な文献を追加で収集することを試みながら,基礎理論としての我が国への応用可能性を念頭に分析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
比較法研究を中心に,必要な資料の入手等にに当初の想定より時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究全体を取りまとめる予定であるが,特に,違法性審査とは区別される不当性審査のあり方について,我が国の現状をより幅広く整理し,比較法研究の成果としての基礎理論を参考に,一定の方向性を示すことに重点を置く予定である。
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Causes of Carryover |
比較法研究を中心とした研究の遂行状況から,研究期間を延長する必要性が生じ,追加の文献の購入費用等の必要性が見込まれる経費をを次年度に繰り越したた め。
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Research Products
(1 results)