2017 Fiscal Year Research-status Report
欧州共通庇護制度における難民認定申請者の法的保護の研究
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16K03290
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
安藤 由香里 大阪大学, 国際公共政策研究科, 特任講師 (20608533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 正直 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (70190890)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 欧州共通庇護制度 / 難民認定申請者 / 退去強制 / 安全な第三国 / 人権法 / 難民法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の背景は、難民として認められなかった外国人の退去強制の送還先につき様々な問題が生起していることにある。本研究では、欧州人権裁判所、欧州連合司法裁判所等の事例の比較を通し、外国人の退去強制に関する送還禁止の基準を明らかにすることが目的である。具体的には、日本において、難民認定申請者の裁判を受ける権利、すなわち、日本国憲法第31条および第32条、自由権規約第14条、難民条約第16条に基づく日本初の訴訟が名古屋地方裁判所で進行中であり動向をおっている。 2017年8-9月はフランスのストラスブールにある欧州評議会内の欧州差別・不寛容撤廃委員会事務局(ECRI)で調査および研究者・実務家と意見交換を行うと同時に、2016年3月16日採択「非正規移民の差別に関する一般的政策勧告第16号」を和訳し、ECRIウェブサイトに和訳を掲載した。 日本国内および海外の学会で以下の研究報告および講演を実施した。2017年5月名古屋大学グローバルガバナンス学会にて報告、5月カナダのヴィクトリア大学で実施されたカナダ強制移住・難民学会にて報告、7月2日世界難民の日関西集会にて基調講演、7月22日とよなか地域創生塾にて講演、8月摂南大学にて講演、8月スイス・フリブール大学夏季講習にて講義、11月福岡大学日本EU学会にて報告、11月ギリシャ国際難民法裁判官協会世界大会参加、12月国際交流基金の外交官・公務員研修にて講義、12月スイス・フリブール大学にて報告を行った。 また、新聞社の難民に関する取材に対応すると共に、難民裁判の判例評釈を執筆し、イギリス、オーストラリア、ニュージーランドがどのように難民性の「現実的なおそれ」基準を発展させてきたかにつき、上3国の難民裁判官の寄稿文を大学院生等と共に翻訳し解説し論文とした。「難民の自立における公共倫理とイノベーション」と題して一章を執筆した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
欧州差別・不寛容撤廃委員会事務局(ECRI)で調査滞在すると共に、「非正規移民の差別に関する一般的政策勧告第16号」が、欧州評議会で2016年3月16日に採択されたため、その起草案担当者と相談し、大阪大学の大学院生ボランティアと共に和訳を行い、研究代表者が監訳した後、ECRIウェブサイトに和訳を掲載した。 2017年5月名古屋大学グローバルガバナンス学会にて報告、5月カナダのヴィクトリア大学で実施されたカナダ強制移住・難民学会にて報告、7月2日世界難民の日関西集会にて基調講演、7月22日とよなか地域創生塾にて講演、8月摂南大学にて講演、8月スイス・フリブール大学夏季講習にて講義、11月福岡大学日本EU学会にて報告、11月ギリシャ国際難民法裁判官協会世界大会参加、12月国際交流基金の外交官・公務員研修にて講義、12月スイス・フリブール大学にて報告を行った。 メディアの取材は、2017年6月14日朝日新聞朝刊28頁大阪版「カナダ発民間主導の難民支援」、2017年7月28日毎日新聞朝刊東京版「難民問題 欧州への渡航、トルコが規制」2017年8月9日THE BIG ISSUE ONLINE「市民が難民を受け入れる「プライベート・スポンサーシップ」きっかけは3歳のシリア難民男児の溺死ニュース」に対応した。 論文は、「難民の自立における公共倫理とイノベーション」および「『現実的なおそれ』:英国・ニュージーランド・オーストラリアにおける立証基準の発展経緯」。判例紹介は、「ネパール難民不認定処分取消請求控訴事件(名古屋高等裁判所 平成28年9月7日判決 平成28年(行コ)第2号)」および「2016年日本の判例動向」。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年5月にカナダ・オタワのカールトン大学で実施予定のカナダ強制移住・難民学会にて"Research and Practice on Work Permit for Asylum Seekers "報告し、各国の難民・移民研究者と国際的な動向について意見交換を行う予定である。 6月にポルトガル・リスボン大学で実施予定のThe Migration Conference, 26-28 June 2018, Lisbon, Portugalにて"Mandatory Detention and Deportation Order:the Rights of Child Asylum Seekers in Japan"報告を行う予定である。 8-9月にフランス・ストラスブール欧州評議会の欧州差別・不寛容撤廃委員会事務局(ECRI)で調査滞在し、2017年12月7日に採択「国家における差別および不寛容撤廃に関する一般的政策勧告第2号(改訂版)」を和訳し、ECRIウェブサイトに和訳を掲載する予定である。 11月にニュージーランドで実施予定の国際難民法裁判官協会アジア・パシフィック支部大会に出席予定である。 裁判を受ける権利について名古屋地裁の訴訟の動向を追うと共に、各国における実施を比較分析検討する。
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Causes of Carryover |
2月に予定していた海外調査を効果的な調査とするために、予算の関係で次年度に延期したため。
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Remarks |
http://www.hs.ura.osaka-u.ac.jp/andoyukari
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Research Products
(13 results)