2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K03295
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
岸野 薫 香川大学, 法学部, 准教授 (70432408)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アメリカ憲法史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題に取り組んですぐ、「アメリカ再建期の法と政治」の解明には、それに先だつ「アンテベラム期の法と政治」の総括が肝要であることが分かった。多数決ルールと結びついた人民主権を掲げるトニー・コート法学は、人民の意思と擬制される州による規制を統制し難いことを欠点としたが、その克服こそが、再建期の法と政治の重要な部分であり、それを理解するには、前時代(アンテベラム期)の欠点がそもそも何であったかを正確に捉える必要があったからである。そこで、本研究課題の1つ目の業績として、「アンテベラム期における経済規制と裁判所の役割」を執筆、提出した。公表はまだだが、29年度中に脱稿している。 論稿では、アンテベラム期の大きく変容する社会経済と、そこにおける司法の姿を描出した。具体的には、合衆国憲法1条8節3項の通商条項と1条10節の契約条項に関わる諸判決を辿ることを通じて、修正10条を主たる憲法的基礎づけとする「州の残余の主権」とその限界について考察を行った。その過程で、熱心なジャクソニアンであったトニーを首席判事とする合衆国最高裁が、憲法の性質、憲法解釈の方法、人民主権に担保された州のポリス・パワーと連邦制下における裁判所の役割についてどのように考えてきたかを、マーシャル・コートとの比較の下に明らかにした。 次の論稿では、同時代の重要判例であるドレッド・スコット判決について考察し、上記論稿の検討と併せて、「アンテベラム期の法と政治」の総括を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度中に公表予定であった上記論稿は、出版の都合上、未だ公表されていないが、29年度半ばには脱稿している。 また、その脱稿後に取り組んだ次の論稿については、執筆半ばであり公表の目途は立っていないが、骨格はつかめている。引き続きこの論稿の完成に努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度提出論稿では、社会経済の変化を置いては語ることのできない時代であったため、経済規制の観点から、当時の司法と政治に切り込んでいったが、今後は、同じくこの時代を語る上で外すことのできない奴隷制度にかかわる重要判決を素材に、同テーマの検討をさらに深め、最終的に、アンテベラム期の司法と政治の総括と、その時代が今日の憲法解釈論争に与えた影響について考察する。 当初の研究計画では再建期が主たる検討対象であったが、上でも述べたような理由から変更を加え、アンテベラム期を主たる検討対象とし、研究を総括する。
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Causes of Carryover |
本年度は、在外研究をすることができず、多額を残すこととなった。30年度に執行する予定である。
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Research Products
(1 results)