2016 Fiscal Year Research-status Report
議会による憲法保障としての「政府の憲法解釈」統制機能
Project/Area Number |
16K03298
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
横大道 聡 慶應義塾大学, 法務研究科(三田), 准教授 (40452924)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 比較憲法 / 制度設計 / アーキテクチャ / 憲法解釈 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、当初、アメリカ連邦議会における議会運営・立法過程・議事手続の実態把握を通じて、そこにおいて「憲法」がいかなる役割を果たしているかを見ることを計画していた。しかし、まずはより原理的な考察が必要であると考え、憲法をいかに制度設計するのか、どのような制度設計であれば議会や執行府による憲法解釈が実際の憲法秩序に影響を与えるようになるのか、といった考察を行うことにした。 そうした観点からの研究として、松尾陽編『アーキテクチャと法――法学のアーキテクチュアルな転回?』(弘文堂、2017年)に、「憲法のアーキテクチャ――憲法を制度設計する」と題する論文を公表した。また、2016年5月に南山大学で行われた全国憲法研究会春季総会にて、「憲法典の改正と憲法秩序変動の諸相」と題する報告を行い、2017年1月に金沢大学主催の北陸公法判例研究会にて「比較憲法学から見た日本国憲法」と題する報告を行った。 以上の検討を通じて、憲法典をどのように設計するかにより、立法・司法・行政のどの機関の憲法解釈が現実の憲法秩序に影響を与えるようになるかもある程度は変化し得ること、とりわけ、憲法典の規定スタイル、憲法典の変更への国民の態度、憲法改正手続の難度、司法による憲法判断の積極度等により、司法中心の憲法秩序構築か、憲法解釈を担う行政ないし立法機関中心の憲法秩序構築かがある程度関わってくることを論じた。本研究課題の追求に際しては、このようなマクロな視点からの考察も必要であることも明らかにできたと考える。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上記の通り、本研究テーマにとって原理的な考察を進めることができたが、当初計画から若干の変更があること、また、海外調査が先方との日程調整がうまくいかずに延期になったことを踏まえて、「やや遅れている」と自己評価している。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度に学会や研究会で報告した関連業績の活字化とともに、議会に焦点を当てた憲法解釈についての研究を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
平成28年度に海外調査を予定していたが、スケジュール上の理由により延期となった。その分の予算支出がなくなったため、「次年度使用額」が増える結果となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度(平成29年度)は、改めてスケジュール調整を行い、海外調査に赴くことに加えて、有識者へのインタビュー調査なども精力的におこない、必要経費を計画的に執行していく予定である。
|