2017 Fiscal Year Research-status Report
熟議民主政構築に向けた人権保障と違憲審査制のあり方
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16K03299
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
平地 秀哉 國學院大學, 法学部, 教授 (70339662)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 憲法学 / 表現の自由 / 名誉毀損 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、研究目的のうち、熟議民主政の下におけるマイノリティなどの政治参加のあり方、および表現の自由を中心とする精神的自由の解釈、のふたつに即して研究を行った。 前者については、熟議民主政の理念の実践のモデルとして、オーストラリアのクイーンズランド州およびブリスベン市における、community engagementと呼ばれる政策決定過程で取られている手法について、同地に赴き、調査研究を行った。具体的には、議会の傍聴や、議事録等の公的文書の閲覧、及びクイーンズランド大学図書館等におけるcommunity engagementに関する資料の収集を行った。 次いで、後者については、熟議民主政にとって市民の熟議の場として極めて重要な、インターネット上の言論の自由のあり方について、名誉毀損法制を素材にして研究を行った。他者の名誉を保護する必要性を認識しながらも、インターネット上の表現を不当に阻害しないような名誉毀損法制の現代的在り方について、インターネット時代に顕在化した関係的権利としての「名誉」概念を素材に示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オーストラリアにおける熟議民主政の実践について、現地調査等で得た資料が多いため十分に整理することができていないため、成果をまとめる段階に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今一度、アメリカ合衆国を中心に、熟議民主政に関する最新の理論および実践の動向を調査研究し、熟議民主政の下での違憲審査制のあり方について、その概要を構築することに努める。そのうえで、表現の自由以外の各種の人権保障のあり方について、各論的考察を行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 十分な日程を確保することができなかったため、アメリカ合衆国に渡航して熟議民主政及び違憲審査制に関して調査・資料収集を行うことができず、旅費の支出が計画に比して少額となっていることが理由である。 (使用計画) 平成30年度は、アメリカ合衆国に渡航して熟議民主政や違憲審査制等に関する調査研究を行う予定である。
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