2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K03308
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
野一色 直人 京都産業大学, 法学部, 教授 (20551865)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 消費税 / デジタル取引 / 仮想通貨事業者 / 連帯納付 / 特別徴収義務者 |
Outline of Annual Research Achievements |
デジタル経済(Digital Economy)への消費税課税の対応に関して、日本と地理的類似性を有する英国において新たに創設されたVATの連帯納付に係る責任等の概要の整理を行い、日本における導入の可能性等を検討した。 また、平成31年度税制改正において、消費税法上、新たに創設された仕入税額控除の適用を制限する制度の意義・課題、さらに、国税通則法上、仮想通貨交換事業者等に対する情報の提供を求める新たな権限の課題等を整理し、既存の制度との関係上、法的な議論が残ることを明らかにした。 さらに、デジタルプロダクトを提供する国外事業者に係る情報収集に関して、租税条約に基づく情報交換に係る法的課題、デジタル経済に対応するための地方税について、最近の制度の特色や争訟等を整理し、法的課題を検討した。 具体的な研究業績として、「宿泊税の徴収の方法に係る法的課題‐特別徴収義務者をめぐる法的課題を中心に‐」共栄法律事務所編『法の理論と実務の交錯-共栄法律事務所創立20周年記念論文集』(法律文化社、2018年)、「消費税法上の連帯納付に係る責任の検討の意義と課題-英国において新たに創設されたVATの連帯納付に係る責任等を素材として-」税法学580号(2018年)との論稿を公表した。また、「地方税に係る最近の争訟の概要と特色」(第512回日本税法学会関西地区研究会(2018年9月15日)、「税務上の国際的情報交換に係る法的課題」(第21回国際商取引学会全国大会(2018年11月18日)、「国税通則法上の新たな情報照会手続(案)の意義と法的課題」(第517回日本税法学会関西地区研究会(2019年3月23日)、「仕入税額控除制度をめぐる法的課題」(税務大学校税務研究会)(2019年3月28日)等の研究報告を行い、デジタル経済に対応するための消費税等に係る新たな課税制度の課題等を明らかにすることを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の対象とする課題である、日本の地理的特性への考慮の問題に関して、英国において新たに創設されたVATの連帯納付に係る責任等の概要や関連する制度の分析を行った。また、平成31年度税制改正において設けられた事業者等への情報照会手続や仕入税額控除の制限に係る制度の意義や法的課題、さらに、消費税における新たな内外差別の問題に関連する法的問題として、デジタル経済と地方税との関係に関して、デジタル経済への対応に係る地方税法上の制度や執行上の課題等の整理を行い、これらの課題に係る検討を論文や研究会における報告として公表したところである。 加えて、国外事業者が滞納した消費税を徴収する問題に関して、滞納処分の前提となる滞納者を含む事業者等に係る税務上の情報手法に係る法的課題の整理・分析を進めつつ、税務上の国際的情報交換に係る法的課題を研究会において報告し、国際商取引学会年報において論文として公表することを予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度及び平成29年度における整理・検討等を踏まえ、デジタル経済等の最近の経済社会の動きに対応して、平成31年度税制改正において、導入された事業者等への情報照会手続や仕入税額控除の制限に係る制度については、類似の制度を有する他国の議論を参考としつつ、これらの制度の法的枠組みの意義や課題を明らかにする。 また、日本の地理的特性への考慮の問題との関連として、英国で導入されたVATの連帯納付に係る責任等が英国以外の欧州においても導入される動きがあることから、当該制度の概要や法的課題等を明らかにし、今後、日本における導入の可能性等に係る法的課題を更に整理する。加えて、国外事業者が滞納する消費税の徴収に係る問題の整理に関しては、学会等の動きを踏まえ、租税条約上の課題や国内法の法的課題等に係る分析を進めることを予定している。
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Causes of Carryover |
出張等に係る費用が、出張先の調整がつかなかったこと等の事由から、予想よりも低額であったため、繰越が生じることとなった。 研究対象の電子商取引に係る課税制度に関して、第1に、欧州において、2018年12月末から、新たな制度であるVATの連帯納付に係る責任の制度に関する議論が本格的に進んでいること、第2に、平成31年度税制改正において、新たな調査制度や仕入税額控除の適用を制限する新たな制度が設けられたこと、第3に、租税法学会等において情報交換や徴収共助に係る議論が急速に進展していることから、これらの新たな動き等を踏まえ、研究をより精緻に進めるため、次年度において、これらの新たな動きに関連する書籍の購入、資料の収集等といった研究の遂行のための費用に充当することを予定している。
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Research Products
(8 results)