2018 Fiscal Year Annual Research Report
Theoretical Analysis on "Circumvention" of International Obligations
Project/Area Number |
16K03316
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Research Institution | Otaru University of Commerce |
Principal Investigator |
小林 友彦 小樽商科大学, 商学部, 教授 (20378508)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 迂回 / 権利濫用 / 信義則 / WTO / FTA / アンチダンピング / 農業協定 / 輸出補助金 |
Outline of Annual Research Achievements |
規範の「迂回」とは、通常とは異なる方法をとることでもって当該規範の適用を免れ、もって当該規範の目的と機能を損なう行為を指す。この点で、当該規範の「違反」とは異なる。また、一見すると「違反」にならないように偽装するものの実質において規範に反する行為(「隠れた違反」)とも異なる。このような行為を無制約に許せば、規範の実効性が損なわれることになる。他方で、人為的な操作を加えたり通常とは異なる方法をとったりするという点を除けば少なくとも形式的には適法な行為である以上、それに対応するにあたっては過剰規制を避ける必要もある。 国家は、国内法令を操作することによって国際義務を「迂回」しようとする主体である一方で、私人による国内法令・行政措置の「迂回」を抑止しようとする主体でもある。そこで、国際レベルと国内レベルにおける国家の法的整合性という観点から、「迂回」の規律についての立体的なバランスの取り方を示そうとした。具体的には、国家がWTO 協定を実施するにあたって、「迂回防止」措置を取る行為と、国際義務を「迂回」する行為との間の規範的緊張関係を比較対照する。この作業によって、「迂回」概念の分析枠組みと法的対応策について、国際法と国内法の動態的相互関係から再構成しようとした。 最終年度は、国際・国内学会での研究発表とその際の質疑応答によって国内外に問題提起を行い、後掲する論文によって学術的成果を公表した。2018年度は、研究発表として東京大学、神戸大学、早稲田大学、国立台中科学技術大学(台湾)、ニューサウスウェールズ大学(豪州)、淡江大学(台湾)において行った。査読ありの雑誌論文をすでに1本公表しており、その他の成果も公開予定である。
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