2017 Fiscal Year Research-status Report
武力紛争法における付随的損害論の再検討-原子力艦艇戦闘喪失と放射能汚染
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16K03323
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
真山 全 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (80190560)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 海戦法規 / 武力紛争法 / 国際人道法 / 原子力事故 / 放射能汚染 / 付随的損害 / 環境法 / 東シナ海 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研研究主題に関係する原子力艦艇戦闘喪失、付随的損害、海戦法規や海洋法に関係する国際・国内シンポジウムに参加・報告し、各国海軍専門家と協議することができた。すなわち、タイ海軍戦略研究所(2017年6月)、中国南海研究院(同8月、2018年3月)、台湾法務部(2017年10月)、台湾中央警察大学(同11月)、同国防大学(同)、米海軍大学校(2018年3月)、海上自衛隊幹部学校(同)、同横須賀地方総監部(同1月)、陸上自衛隊陸上幕僚監部(同3月)、及び同小平学校(2017年9月)である。また、国際刑事裁判所締約国会合出席時(同12月)にも多数の諸国の関係者と接触することができた。こうして外国海軍専門家や防衛省関係者との協議は、英、ノルウェーやロシア連邦を除き順調に進んでいる。 特に来日の米海軍大学校関係者との協議の成果は大きく、西部太平洋における各種の作戦行動に関する法的問題点を詳細に討議することができた。 こうした協議等を参考に、いくらかの論考を公表した。その内には、上記関係会合のプロシーディングスを含む。また、原子力推進艦艇戦闘喪失時の放射能汚染の研究とはやや外れるが、核兵器使用の法的評価を再検討する機会があり、それに関する概説も執筆した。こうしたもののうち、「海上自衛隊幹部学校戦略研究」掲載の論考は、中国の国際法・海洋法認識の検討とその今後の動向を分析する法的枠組みを提示するもので、こうした大枠の提示ができたことは本年度の大きな成果であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
関係諸国海軍の本件問題に関する基本的な認識の調査が本科研研究において大きな比重をしめるが、米、英、中国、台湾についてほぼこれを終えることができた。但し、原子力戦闘艦艇保有国であるロシア、仏が未調査のまま残ってしまった。インドも同様である。 他方、付随的損害の基本理論は、2017年3月刊の世界法年報所収論文でかなり詳細に扱ったので、理論的研究の箇所については既に一定の成果を確保している。 文献調査・分析に関しては、欧文文献を中心にこれを行った。いくらか不足もあるので2018年度でも引き続き行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き文献研究を行うとともに、いくらか残った関係国の調査を実施したい。もっともロシアについては入手できる情報が限定されるため、同国と協同で原潜放射能調査を行っているノルウェーから関係情報が入手できないか検討する。
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Causes of Carryover |
おおむね順調に使用したが、少額の未使用金が発生した。未使用額は引き続き行う文献研究に使用する予定である。
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